去る6月20日(金),第228回事業所見学会が金沢市の郊外に位置するキリンビール竃k陸工場で行われた. “北陸づくり”でおなじみの同工場は,“人に優しい工場”のアイデンティティの下に建設された日本海側初のビール工場であり,“ふるさとの杜のビール工場”の愛称にふさわしく,緑の公園の中の素晴らしい環境下に立地している.
ビール会社の見学会とくれば,ビールの試飲を期待される向きも多い.しかし今回は同社の“ビールは単なるアルコール飲料ではなく食品の一部である”との考えから,工場直営のビアレストランでの特別ランチの賞味を,お世話して頂いた.
勿論ビールの試飲?付である.この作戦はズバリと的中し,台風接近による雨風の中を,北陸地区での見学会としてはめずらしく?51名もが参加した.
まず,特別ランチで食文化を満喫した後,【「21世紀型の工場運営を目指して」…ISO9002/14001の取得を出発点として】のテーマのもと,午後から本来?の見学会スケジュールに移った.
清水品質保証部長の司会のもと,鍛冶工場長の挨拶,君塚副工場長の業務説明と続き,次いで「人に優しい工場」の見学を終え,テーマ討論に入った.
テーマからも分る通り同工場は1994年ビール会社として,日本初のISO9000をまた1996 年,食品会社として日本初のISO14000を取得.
ダブル取得は業界内で,世界でも十指に入る存在である.輸出に直接関係ない同工場が,こうして他社にさきがけて積極的にISOを取得したのには理由がある.それは品質と環境と安全を統合するため,工場運営のツールとして活用するためである.
このように同工場はISO9002/14001の取得を出発点とし「21世紀型の工場運営を目指して」様々な活動を展開し,そのための種を蒔いている.
21世紀は人の時代である.コンピュータはあくまで道具であり,主人公は人間である.そのためには人と機械の役割分担を明確にし,人に優しく生産文化の栄える工場を目指さなければならない.そのための具体的手段を君塚副工場長からプレゼンテーションされ,参加者一同,21世紀に向け自社は何をすべきか,参考になるところ大であった.
「人に優しい工場」に始まって「自然との共生」「環境創造」「品質アセスメント」「情報の発信基地」「共販共鳴」等々,21世紀の工場運営に関するキーワードに溢れた見学会であった.
山 勝三(コマツ)