学会行事はややもすると硬すぎるので参加しにくい,という方が多いのではないでしょうか。 私が行事委員長を仰せつかってから2年間,シンポジウム,見学会,チュートリアルなど色々な企画を立ててきましたが,いつも頭にこびりついていたのがこの疑問です。
日本品質管理学会は顧客志向をTQMの理念とし,会員サービスを事業としながらも,その硬さのゆえに必ずしも顧客(会員)の希望を満足してこなかったのではないか,もっと気楽な場,職業や職種,年齢を乗り越えて語り合える場が欲しい,酒でも飲みながら,ゆっくりと視野を広げられる場が欲しい,そのような思いを行事委員会や理事会で提案したところ,幸い多くの賛同をいただき,早速に日科技連ビル5階にオープンしたのが「クオリティ・パブ」です。
パブにしてはマスターもウェイトレスも慣れていないのは御愛嬌。 1ヶ月おきにしか営業せず,ビール,ウイスキー,サンドイッチ,おつまみつきで1500円という採算度外視の超気軽さで受けています。
雰囲気上々,和気あいあい。 一杯飲んで一流のゲスト(「講師」は硬いのでこのように呼ばせていただきます)のお話を聞き,回りの方とも自由に意見交換。
最後の名刺交換はさながら異業種交流会と化します。 アルコールの効果は絶大。 昼には出ない本音の言葉がここではぽんぽん飛び出し,時間の経つのが何と速いことでしょうか。
講演会などではあり得ないほど,企業人も大学人も学生も実に生き生きと語り合います。
第1回(7月25日)は鷲尾会長による「TQMのこれから」。 今後のTQMにおける商品開発や創造的問題解決,戦略立案の重要性を熱っぽく説かれ,参加者一同刺激を受けました。
また日科技連の「TQM宣言」についても大いに談論風発,最後は学会としての研究も必要という議論で盛り上がって終了。
第2回は松下電工潟oーチャルシステム技術開発室主幹の野村淳二氏。 話題は一転してしてVR(バーチャル・リアリティ)。 仮想空間の中で自在に動く最新のVTRを拝見しながら,夢のような最先端技術のお話に,酒の力なくとも酔いしれるひとときでした。
若手の大学院生などの参加も多く,学生からVRの商品開発への応用提案もあって,相互交流のできる場の良さを改めて実感した次第です。
第3回(11月14日)は立命館大学経営学部の長沢伸也教授を京都からお迎えして「感性工学をこう考える」。 豊かなヒゲを蓄え芸術家然とした同氏の感性たっぷり,ユーモアたっぷりのお話とプレゼンテーションに,一同引き込まれました。
感性とは何か,感性工学とは何かをわかりやすく語っていただき,酒量もかなり進んだ一夜でした。
さて新年明けての第4回はキリンビールの八丹正義氏をお迎えし,「課題達成型QCストーリー」について語っていただきます(1月30日18:00〜20:30東高円寺日科技連ビル5階)。
従来の問題解決型と異なる新しいタイプのQCストーリーとしてQCサークルに急速に普及し,最近マネジメント型まで出された話題のテーマです。
その定式化の経緯や意義,事例などについてわかりやすく語っていただきます。 どうぞお誘い合わせの上お越し下さい。 QC初心者,学生の方にも絶好の勉強と交流のチャンスです。
リクエスト歓迎,ついでに酒類食物寄付も大歓迎。 肩の力を抜いて気楽に学び, 大いに語ろうではありませんか。
クオリティ・パブ店長 神田範明(アルバイト先・成城大学)