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第225回事業所見学会(中部支部)ルポ ヤマハ(株)本社工場

アップデート:1997/10/2 ルポの一覧に戻る

さる4月17日(木)、第225回事業所見学会が浜松市中沢町にあるヤマハ(株)本社工場で行われた。本見学会は「魅力ある商品開発(サイレントピアノに見る新たな需要の創造)」をテーマに40名が参加した。当日は爽やかな風が心地よいよく晴れた絶好の見学会日和となった。

ヤマハ(株)は明治20年の山葉 寅楠氏による国産初のオルガン制作をもって嚆矢とする世界有数の楽器メーカーである。また長い伝統で培った技術をもとに電子機器、スポーツ用品、モータサイクルなど多様な企業展開をしている。本社工場はピアノ製造のほか各種の研究機関があるヤマハの主力工場である。さてピアノは主要な素材が木材などの天然材とフレームなどの鉄材との組み合わせ構造である。その製造過程においては通常の機械製品とは異なり熟成といった行為が必要であり、ピアノの形ができてから手間がかかる製品である。また昔、タッチといった官能特性が重要であり最後は個人の技能や感性が決め手となる。このため職場毎に資格認定を取り入れて技能レベルを保つシステムになっている。

今回のテーマではサイレントピアノが取り上げられているが、美しい音が売り物であるピアノの音をなぜ消さなくてはならないのか。昭和40年代にピアノ騒音が社会問題化し、大きな音でも小さな音でも演奏できるピアノが強い市場ニーズとして浮上したのである。このサイレントピアノの開発はユーザーニーズを率直に取り入れた結果といえる。サイレントピアノは通常は普通のピアノであるが消音時は電子音を出している。技術的ポイントは両者をうまく調和させる点にあった。そして電子的な機構を組み込んだことからいろいろな用途が可能なピアノになったのである。パソコンと組み合わせた自動演奏はもとより伴奏を自動演奏させユーザーはメロディーのみ弾いて好きな音楽を楽しむこともできる。こうしたことから成人層をはじめとした新たな需要層を掘り起こしたといえる。当たり前のことであるが、ユーザーが期待する希望や夢に答えられる商品こそが「魅力ある商品」であることをあらためて感じさせられた見学会であった。


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