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JSQCニューズ 2019年11月 No.376

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■トピックス:坂根 正弘 氏がANQ「Ishikawa-Kano Award Gold Medal」を受賞!
■私の提言:JABEEへのとりくみ
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トピックス
坂根 正弘 氏がANQ「Ishikawa-Kano Award Gold Medal」を受賞!

村川技術士事務所 村川 賢司
本学会の第41年度会長で名誉会員である坂根正弘氏(小松製作所相談役特別顧問)は、アジア圏の17組織で構成するANQ(Asian Network for Quality)が創設したIshikawa-Kano Award Gold Medalを受賞されました。その授与式が2019年9月4日(水)に(一財)日本科学技術連盟において執り行われました。
 Ishikawa-Kano Award Gold Medalは、品質マネジメントと実践の両面において秀逸した個人を表彰するために故石川馨先生と狩野紀昭先生(ANQ名誉会長、東京理科大学名誉教授)の名を冠して2010年に創設されたIKA(Ishikawa-Kano Award)を発展し、2018年に新設された名誉ある賞です。 
授与式は、棟近雅彦JSQC会長の開会に始まり、IKA委員会のJanak Mehta委員長によるIKA発展の経緯と意義の紹介の後、IKA授与者である石川馨先生ご家族にPanisuan Jamnarnwej ANQ会長とJanak Mehta氏から記念メダルが贈呈され、ご息女の黒川裕子氏が代表して謝辞を述べられました。
 引き続き、Ishikawa-Kano Award Gold Medalの栄えある初受賞者である坂根正弘氏に、石川馨先生ご家族と狩野先生のご臨席のもと、Panisuan Jamnarnwej氏とJanak Mehta氏から賞状とメダルが授与されました。
 坂根氏は、JSQC会長として国際活動の積極化に尽くし、香港で開催されたANQ大会でJSQCから48件の発表や、若手のANQ発表支援にも心を砕きました。また、日本科学技術連盟や国際品質アカデミー活動推進に努め、品質管理の国際的な普及発展に尽力しました。
 坂根氏は記念講演において、企業価値の創造に向けて自ら率先し範を示してきた事柄を紐解きながら、企業価値、これを構成する価値観、そしてこれらを実現する行動様式を高めていくことが、経営力を高める要諦であると強調しました。そして、企業価値は社会を含むすべてのステークホルダーからの信頼度の総和であると定義づけ、その最大化に挑みました。
 このために、ビジネスモデルで先行し、現場力で勝負する戦略を主導しました。その歩みは、先ず「ダントツ商品」のための機械本体の性能面での商品力向上に力を注ぎました。次に「ダントツサービス」のためのKOMTRAXなど機械の見える化による現場サービス力の向上に努めました。そして、「ダントツソリューション」を指向するスマートコンストラクションなど施工の見える化による顧客の課題解決に当たりました。
 坂根氏は、企業価値の最大化には、根幹となるコマツウェイのもとで、TQMとESG(Environment, Social, Governance)を基盤に、顧客・社会などステークホルダーになくてはならない存在になるための顧客価値を創造するビジネスモデルの変革が肝要であると述べ記念講演を締めくくりました。
 棟近雅彦JSQC会長は閉会に当たり、坂根氏の益々のご活躍を祈念するとともに、遠路来日されたANQ代表者の方々へ謝意を表し、授与式を閉じました。
 坂根正弘氏が栄誉あるIshikawa-Kano Award Gold Medalを受賞されましたことに心からお祝いを申し上げます。

私の提言
JABEEへのとりくみ

明治大学 永井 義満

 マネジメントシステム規格については、ISO 9001やISO 14001の認証を取得している組織が数多く存在していますが、マネジメントと教育を結びつけるのにアレルギーがあるからかもしれませんが、教育機関では積極的に認証を取得しようという動きはありません。しかし、世の中の動きには逆らえず、2000年代に入ると認証評価制度が始まり、大学も認証評価を受けることが当たり前になってきました。各大学のWebページを覗いてみると、「〇〇の認証を受けました。」という記事や認証マークを見ることができます。そうした中で、技術者を育成する教育プログラムについてJABEE(ジャビー、日本技術者教育認定機構)による認証評価があります。これは、学科(さらに細分化されている場合もあります)の教育プログラムが国際的に通用する知識と能力を身につけた技術者を育成しているかを審査されるものです。また、学生は卒業すると国家資格である技術士の第一次試験が免除されます。こうした点からか自分たちがJABEEという資格を取得したと思っている学生もいます。卒業生を認定プログラム修了生と呼ぶことが勘違いの原因かもしれません。
 私の所属学科もJABEEから認定を受けており、数年(3年ないし6年)ごとに審査を受けています。学科としてPDCAサイクルを意識した教育の改善に取り組んでおり、授業に関してはシラバスが学生との契約書であるとの立場に立ち、講義計画に変更が生じた場合は直ちに修正した講義計画を示さなければなりませんし、成績評価に関しては、エビデンスに基づいた評価が求められています。つまり、誰が評価しても同じ成績になるようにしなければいけません。不合格になった科目に追加レポートを提出したら単位が取れたという昔話(今もありますか?)は存在しません。
 こうしてめでたく(?)認定を受けているわけですが、あくまでも国際的に通用する知識と能力を身につけた技術者を育成する組織の枠組みができただけにすぎず、ともすれば、仏作って魂入れずになりかねません。学生がJABEEの認定を受けた学科を活用してこそJABEE認定の存在意義があると思うのですが、この懸念が払拭されないため今回のタイトルも「JABEEのすすめ」とすることができませんでした。


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--------The Japanese Society for Quality Control--