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学会誌「品質」
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JSQCニューズ 2014年 8月 No.334

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■トピックス:中部支部の今年度の活動状況
■私の提言:科学的イノベーション経営の推進とそれに向けた産学官の情報共有推進
・PDF版はこちらをクリックしてください →news334.pdf

トピックス
中部支部の今年度の活動状況

理事 國澤 英雄/幹事長 三浦 昭一

 昨今、グローバル化が進む中でものづくりを取り巻く環境は厳しい競争に晒されており、その中で勝ち残るには、日本企業の強さである品質や信頼性にさらに磨きをかけるとともに、社会のニーズや環境を素早く読み取り、お客様目線での多様な価値観に対応した商品やサービスを市場に出し続けることが必要である。
 そのため、今年度、中部支部では「グローバル競争を見据えた産学連携によるQの確保の発信」を基本的な取組みとして、さらにものづくりやサービスにおけるお客様が求める本当の品質とは何か、また、それを提供するためには何が必要かを産業界と学界が連携を取りながら以下に紹介する各行事を通じて広く発信している。

研究会活動
 研究会活動を支部活動の中心と位置付けて、次世代を見据えた若手研究者の活性化と研究内容の充実を図っている。
(1)東海地区若手研究会
 年6回、中部地区の企業と名古屋工業大学、南山大学を中心に、それぞれ課題となるテーマを出し合い、Qの確保のための問題提起と解決方法を議論し、実践につなげている。
(2)北陸地区若手研究会
 金沢工業大学が中心となり、北陸地区のQの確保の普及を目指して、毎年3月に学生、8月に企業の品質管理担当者の活動成果発表会を開催している。
(3)産学連携現地現物研究会
 年4回、中部地区の企業と早稲田大学、関西大学、名古屋工業大学が、開発設計技術者に実務に活用できるロバスト設計のための考え方と方法論を提供しており、現在、この活動成果をまとめている。
(4)中部医療の質管理研究会
 岐阜県の病院経営者とそのスタッフおよび中部学院大学が、2か月に1回の講演会と年1回のシンポジウムを通じて、TQMの考えに基づいた病院の経営と管理について、その課題や今後の方向性を議論している。
研究発表会
 毎年8月に、名古屋工業大学にて企業と大学が、会員、会員外の多岐にわたるニーズに応えた幅広い研究・開発テーマで、かつグローバルなものづくりの現場で使える事例を発表している。
シンポジウム
 今年度は、7月に顧客満足のための新たな商品やサービスを提供し続けることができる組織、人材、風土をどの様に作っていくかについて、「人が輝く組織の実現のために」と「ワクワク楽しい職場作り」と題した2講演と、講演者と会場参加者を交えた意見交換会を通じて伝えた。
講演会
 今年度は、5月にグローバルなものづくりの現場でお客様の求める本当の品質とは何かについて、新しい気づきを得、発想の転換につながることを狙いとして、低コストでかつ高品質と高信頼性を実現した最先端ロケット開発および、顧客が製品・サービスを選択するときの感情経験の提供の必要性についての2講演を行った。
事業所見学会
 年2回、見学参加者の品質管理の自社展開の参考となる、質の高い品質管理活動をしている中部地区の企業を選定して開催している。今年度は、中日本高速道路(株)と(株)豊田自動織機の2事業所の見学を行った。
幹事研修会
 前述の諸活動を推進するため、担当幹事を産・学から選出し、毎月、幹事会を開催して企画・運営しているが、さらに幹事間の意思疎通を図り、行事の企画力・運営力の向上につなげるために今年は2回、研修会を実施した。

 以上が、中部支部の活動概要である。今後とも、中部地区の強みである産業界と学界の連携を密にしながら、ものづくりやサービスの現場で、実践に役立つ品質の考え方、管理手法を会員および社会に発信できればと思っている。


私の提言
科学的イノベーション経営の推進とそれに向けた産学官の情報共有推進

 
大阪市立大学大学院経営学研究科教授 太田 雅晴

 イノベーションマネジメントを経営科学の視点から研究することを、この10年間続けてきた。その中間成果として『イノベーションマネジメント』を2011年に日科技連出版社から刊行させて頂いた。それに関わり国内外で講演をさせて頂く機会も多くなった。
 多くの方から多様なコメントを頂いた。海外からは極めて正当な研究との評価を頂く。国内は産学両方の方々から多様なご意見を頂いたが、それは本の内容への是非というよりも、イノベーションに向けての我が国企業や社会全体の課題である。多くの方がイノベーション経営に向けて様々なご意見をお持ちで、拙稿によってその表出化が促されたのであれば嬉しいかぎりである。
 イノベーションプロセスとは、顧客ニーズの把握、アイデアの創起、アイデアの評価・選択、製品化、製造の実行、そして製品の普及を牽引して付加価値を獲得する販売・マーケティングまでの一連の包括的プロセスを指す。それを的確かつ迅速にグローバル展開することによってイノベーションは成功する。皆様からのご意見の一例を挙げさせて頂くと、歴史ある我が国大企業の経営者の多くがどこかの部署のチャンピオンであった人で、そのような人に包括的プロセスのコントロールは難しいのではないかとか、アイデアの選択・評価に際して、既存の組織風土が障壁となって的確にできないとか、ここ数年グローバル化への対応を否が応でも迫られているが対処法がよくわからないとか、もはや一企業でイノベーションを成功させることは不可能であり、ジョイントベンチャーの設立やM&Aが鍵であるが我が国にはそのノウハウの蓄積は産学両方で非常に少ない、などである。
 総じて言えることは、イノベーション経営に向けた科学的方法論の再構築とそれに関わる各種ノウハウの蓄積が、我が国において未成熟なことである。言い換えれば、我が国は今までのモノづくりの品質経営においては世界一のノウハウの蓄積があるが、それを有効に生かす経営ノウハウの蓄積が不十分なのである。私の提言は、イノベーション経営に向けたノウハウの蓄積を行い科学的マネジメント手法として共有する体制の構築である。欧米の優良企業、いや新興国の優良企業でさえ、その蓄積を淡々と行っているのであるから。


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