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学会誌「品質」
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JSQCニューズ 2008 8月 No.286

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■トピックス:日本品質管理学会中部支部の活動について
■私の提言:品質第一の人材育成こそ存在感ある成功企業
・PDF版はこちらをクリックしてください →news286.pdf

■ トピックス
  日本品質管理学会中部支部の活動について

支部長 渡邉 浩之

 ものづくり現場で今なにが起こっているのか、現地・現物で確認し、ものづくり現場で役に立つ活動、産と学に実効のあがる活動を展開するため、「実践的Qの確保」をスローガンに掲げて支部活動を展開している。

  最近の安心・安全を脅かす重大事故の頻発、リコールの多発、韓国や中国の追い上げなど、日本における「Qの確保」の基盤が揺るぎつつある。中部地区のものづくりは元気が良いと言われているが、同じような問題を抱えているといっても過言ではない。
  このため、産と学の連携により、ものづくりのプロセスを俯瞰できる新しい品質確保の「仕組み」と、技術者の知恵をだす「仕掛け」を構築すべく、研究会活動を支部活動の基盤においている。
ものづくり現場での問題点
  中部地区のものづくり現場で、現在どのような問題を抱えているか、調査を行った結果、下記の二項目に集約された。
  1)仕事のプロセスが見えていない
  2)見えていない問題の解決力の低下
  ものづくりのプロセスが「可視化(見える化)」されていないため、節目節目で問題が解決されず、どんどん先送りされているのが実情である。この状況を脱するには、「プロセス管理軸」と、個々のプロセスで目に見えていない問題をどのように発見し、解決するかという「問題解決軸」の両面から、「仕組み」と「仕掛け」を構築しなければならない。
中部支部の研究会活動
  産と学が協力、現状問題の提起と解決策を創出する議論の場として、下記の研究会が活動を展開している。それぞれの研究会では、成果を研究発表会につなげるように努力をしている。
1)
産学連携現地現物研究会
2)
中部地区若手研究会
3)
北陸地区若手研究会
4)
中部医療の質管理研究会
 また、解決策につながると思われる思考方法や手法については、講演会やパネル討論会の企画に組み込むように支部行事計画を進めている。
「実践的Qの確保」につながる、中部支部の主な事業活動
  「プロセス管理軸」と、「問題解決軸」の両面からアプローチするため、支部活動の中で展開してきた、最近の主な活動内容を下記に示す。
1)
「プロセス管理軸」に関わる項目
品質は工程でつくり込む
トヨタ自動車・佐々木氏基調講演
DFSS(Design for Six Sigma)
ASI・田口氏講演
これからのモノ創りへの想い
関東自動車・服部氏講演
プロセスリンク管理の実践活動
トヨタ自動車・杉山氏事例講演
ソフト開発におけるQの確保
富士通・木村氏事例講演
開発〜製造〜一貫の取り組み
関東自動車・中塚氏研究発表
変化点管理と見える化
朝日大学・稲吉講師研究発表
2)
「問題解決軸」に関わる項目
失敗学と創造学
東京大学・濱口教授講演
品質・安全性の確保と未然防止
電気通信大学・鈴木教授講演
タグチメソッドとSQCの融合
早稲田大学・永田教授講演
品質工学活用のポイントと事例
コニカミノルタ・芝野氏講演
品質工学活用による未然防止
富士ゼロックス・立林氏事例講演
津田方式による未然防止手法
津田工業・都築氏事例講演
CAEとSQCを融合した最適化
デンソー・吉野氏研究発表

 以上のように、支部活動を通してものづくり現場で抱えている問題を掘り起こし、その解決方法につながる活動を目指している。今後、さらに充実した活動を展開していく予定である。
  特に今年度は、中期計画「Qの確保」の折り返し点にあたるため、ものづくりのプロセスを俯瞰して「見える化」すると共に、その過程で、隠れている潜在的問題を見えるようにして見つけ(「問題発見」)、集中して「問題解決」ができる新しい品質確保の手法について、具体的なアウトラインを提示したいと考える。



■私の提言
  品質第一の人材育成こそ存在感ある成功企業

近畿大学 教授 岩崎 日出男

 いつの時代も、品質問題は発生するものであり、パーフェクトな活動は非常に難しい。しかし、ここ10年間ほどひどい事態は過去にはなかったのではないだろうか。なぜそのような事態が頻発するのか、その原因は品質の軽視に起因していることに疑う余地はない。
  「風が吹けば桶屋が儲かる」は、話の展開に意味のない単なるこじつけと受け取れるが、なかなか面白いストーリーである。しかし、「桶屋が儲けたければ、どんどん風が吹けばよい」という論理は成り立たない。論理に無理があり、非常に飛躍している。風刺的な笑い話と聞き流せばよい。
  この話で、「風」=「品質」、「桶屋」=「企業」と置き換えれば、「品質を改善すれば企業は儲かる」と表現でき、この展開は非常に論理的である。品質が消費者にとっても生産者にとっても、その重要性を考えれば疑問の余地はない。
  にもかかわらず、近年多くの企業が品質問題を頻発し、消費者や社会を裏切る結果となり、企業の存続すら危ぶまれる事態が発生している。「品質を改善する」ことは、すなわち「後工程、お客様に安心と信頼を得る」行為につながる。
  品質は生産者と消費者のお互いが共通の認識として理解しあえる思想であり、共通語である。企業不祥事を発生させている企業の経営者の多くは、品質を軽視した結果といえる。品質を軽視することは、すなわち消費者を軽視していることである。
  「全ての経営者は、今一度、品質を第一とするマネジメントの重要性に気づこう」
  経営トップから現場の第一線までが品質を第一とする考え方を実践できる経営体質を確立しなければならない。
  私は、永年品質管理の教育と研究を通して、多くの企業のTQM活動の実践の場に参加させていただく機会に恵まれた。その間の時代の流れの中で、変わらぬものは品質の大切さと、それをお客様の視点で考えることができる人の大切さである。人を育てる努力はどの企業もそれぞれの思いで取り組んでいるが、その育てる方向が品質第一、お客様第一のベクトルにあっているかどうかが重要なのである。この視点に立ったTQMを実践してきた企業は、社会での存在感を勝ち取った成功企業となっている。


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