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学会誌「品質」
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JSQCニューズ 2000年9月 No.223

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■トピックス:台湾におけるTQMの動向
■私の提言:工学としての品質管理のアイデンティティ

・PDF版はこちらをクリックしてください → news223.pdf


■ トピックス
  
台湾におけるTQMの動向

山梨大学 長田 洋
 台湾で去る9月1−2日の2日間にわたり「e-TQM」と題する講演会が開催された。主催者は台湾大手のTQMコンサルティング企業、健峰企管公司であった。私は1998年より毎年招待され、いずれも一人で2日間の講演を行ってきた。今回は3回目で現地のITコンサルタントの協力も得て台湾デンソー、TSMCなど優良企業も参加した、役員、部長クラスの経営幹部やコンサルタントを対象にした特別講演会であった。10月末には本学会主催の台湾の優良企業訪問ツアーが予定されており、極めて時宜を得たものであるとその企画に賛意を表するが、その前に現地のコンサルタントや講演会に参加した企業幹部との交流を通して私の台湾のTQMに対する感想を述べてみたい。
 この経営幹部を対象にした特別講演会では毎回台湾企業の関心の高いテーマをとりあげている。過去、要請されたテーマは「戦略的方針管理」、「ISO9000とTQMの融合(TQM9000)」で今年はITを活用したTQMの推進という内容であった。台湾は90年代、特に97年のタイの金融不安に発した一連の経済悪化の中でも堅調な経済と企業の成長をみている国である。とりわけ半導体やパソコン、電子部品などのエレクトロニクス産業は世界的な競争力を有しており注目の的である。特に製造拠点としては世界のCOE(Center of Excellence)にもなっている。このような台湾企業のエクセレンスの秘訣は米国型経営の導入であり、加えて日本企業のすぐれた経営方式との融合であると思われる。今回の講演会では約50人が参加したが、第1日目は夜9:30までさらに2日目(土曜日)は17:00まで非常に熱心に受講していた。このような真摯なTQMに対するとり組みはかつて日本の70年代、米国の80年代のそれを想起させ、現在の台湾の発展を十分裏付けるものであった。
 台湾企業のTQMの現状であるが第一は日本と同様にISO9000、ISO14000、QS9000の取得はもはや当たり前になっており、私が多くの日本企業に勧めているISO9000と14000の融合も既に複合審査として実施されている。またTPMも浸透している。
 こうした中で彼らの関心事、特に中堅企業にとってはISO9000取得後のTQMを取り込んだステップアップである。
 これには日本のTQM9000三段階モデルが注目されており、日科技連から出版されたTQM9000研究会による著書が翻訳されている。
 第二は彼らの関心が製造のみならず開発にも移ってきており、QFDの導入がなされようとしている。第三が戦略的方針管理である。特に経営幹部はすぐれた戦略立案の重要性を痛感しており、台湾企業がグローバル化を目指し、メガコンペティション時代の戦略経営を求めていることが感じられ、興味深い。第四はITやeコマースなどのとり組みである。
 特にERPが導入され、新しいビジネスモデルの構築と同時にTQMの運用にも大きな変革がもたらされようとしている。これが「e-TQM」である。通信白書によれば台湾のインターネット普及率は日本以上であり、今後はe-TQMが企業競争力の向上に貢献するであろう。
 最後に注目すべきことに本年より実施される日科技連TQM奨励賞に対する関心が高く、挑戦を希望する企業も少なくない。
 またデミング賞に対しても同様である。私もこうした企業に積極的に受審することを勧めている。
 このように台湾企業の躍進から日本が学ぶことは多く、また今後日本が発展するためには日本のTQMを尊敬する台湾企業との協力がより一層重要になるであろう。



■私の提言
  工学としての品質管理のアイデンティティ


名古屋工業大学 仁科 健
 4年前、朝日大学での年次大会開催の際、前日に名古屋で教員集会が開かれた。そのとき、大学工学部において経営工学がアイデンティティを失いつつあるのではないか、という話をした。もっともこのことが、私の所属する大学(工学系単科大学)の特殊性であるならばご容赦願いたい。
 経営工学には二つの側面があると理解している。一つは"工学をマネジメントする(コア技術への支援技術)"側面であり、一方は"マネジメントにおける科学的アプローチ(マネジメントへの支援技術)"の側面である。QCもIEもORもそのウェイトに違いこそあれ、同様に二つの側面を持っていると思う。どちらの側面もテクノロジとして説明できる。立派な工学であると思う。しかしながら、"支援技術"であるという特質をもつことは否定できないであろう。この特質はとくに前者の側面において、経営工学(あるいは品質管理)のアイデンティティをともすれば危うくする要因になりかねない。これは企業においても然りではなかろうか。総じて管理技術はコア技術の黒子的な位置づけがされているように思える。
 とはいえ、日本の品質管理は世界に冠たるものであり、トヨタ生産方式も然りである。さらにはISO 9000、ISO 14000はかなりの認知度がある。にもかかわらず、これが大学入試の経営工学関連学科の倍率になぜ反映しないのであろうか。入試の倍率は世の中の動向を反映するように思うのだが。最近特に増えたと感じるのは留学して品質管理を勉強したいという外国からの手紙だけである。
 このコラムに龍谷大学の由井先生が当学会と経営学会との研究交流を提言されていたのは記憶に新しい。大賛成である。これは品質管理の"マネジメントにおける科学的アプローチ"の側面の発展に大きく寄与するものと思われる。私はさらに"工学のマネジメント"の側面の発展を期待したい。アメリカ機械学会ではタグチメソッドが大きな評価を得ていると聞く。コア技術の工学分野との、学会レベルでの交流をもっと盛んにできないものであろうか。


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