日本品質管理学会 ISO9000s審査員のためのTQM基礎講座
第3回 TQMの活動要素(1)−日常管理と標準化−
【ケーススタディ コメント】

ケーススタディごとの講師コメントは次のとおりである。

ケーススタディ1. この段階ではなお調査を要する。

この組織では、「QC工程表」がK監視及び測定プロセスにおいてチェックリストとして活用されているが、H研修業務実施プロセスでは活用されていない、とのことである。したがって、まずこの組織において「QC工程表」がどのような位置付けになっているのかを明確にする必要である。組織のQMSの「QC工程表」位置付けのとおりに実施されてなければ不適合とする。
ケーススタディ2. 不適合である。
この組織が「QC−PERT図」に基づいて実施する、総務部、教育訓練部、企画経理部の一連の業務が、この組織の規定(ルール)に照らしてどのような状態になっているのかを調査し、不適合とするISO9001:2000規格の条項を特定する。

ISO9001:2000規格条項の候補例として考えられるのは次のとおりである。いずれの条項も確定するには、客観的な証拠を必要とする。

  1. 総務部で10日前にチェックをしていない場合:
    7.5.1「組織は、製造及びサービス提供を計画し、管理された状態で実行すること」
  2. 総務部の担当者に10日前にチェックすることを教えてなかった場合(最近担当者が替わっていた):
    6.2.2 b)「必要な力量がもてるように教育・訓練し、又は他の処置をとる」
  3. 総務部の担当者が忘れていた場合:
    6.2.2 d)「組織の要員が、自らの活動のもつ意味と重要性を認識し、品質目標の達成に向けて自らどのように貢献できるかを認識することを確実にする」
  4. 教育訓練部が最終チェックに基づかず手配をしていた場合:
    5.5.3「トップマネジメントは、組織内にコミュニケーションのための適切なプロセスが確立されることを確実にすること。また、品質マネジメントシステムの有効性に関しての情報交換が行われることを確実にすること」
ケーススタディ3. この段階ではなお調査を要する。
「品質保証体系図」における(新規設計の研修コース)と(設計変更の研修コース)との区分がどのようになされているのかを確認する。審査員は「新規に近いと思われる」と言っているが、F設計・開発プロセスにおいてはこの区分が最も重要であるので、区分をするときの根拠、寄るべき基準を確認する。また、今までの実績を確認することも必要である。それに基づいて今調査している案件が(新規設計の研修コース)なのか、(設計変更の研修コース)なのかを確認する。
ケーススタディ4. 不適合である。
G購買プロセスの「QC工程表」に講師の管理特性が設定されていないことの背景には、購買品としての考え方がある。組織が、講師を購買品として考えることは組織の考え方であるから指摘の対象とすべきではない(講義というプロセスをアウトソースするという考え方もある)が、購買品として考えるならば、7.4条項の規定の適用を受けることになる。

ISO9001:2000規格条項の候補例として考えられるのは次のとおりである。いずれの条項も確定するには、客観的な証拠を必要とする。

  1. 「購買プロセス」「購買情報」は規定されているが、総務部に講師の検証の記録がない場合:
    7.4.3「組織は、購買製品が、規定した購買要求事項を満たしていることを確実にするために、必要な検査又はその他の活動を定めて、実施すること」
  2. 総務部の担当者が記録をとることを知らなかった場合:
    6.2.2 b)「必要な力量がもてるように教育・訓練し、又は他の処置をとる」
  3. 総務部に記録をとると規定された文書が配布されていなかった場合(最近規定が変更になったような場合):
    4.2.3「該当する文書の適切な版が、必要なときに、必要なところで使用可能な状態にあることを確実にする」
  4. 総務部の担当者が忘れていた場合:
    6.2.2 d)「組織の要員が、自らの活動のもつ意味と重要性を認識し、品質目標の達成に向けて自らどのように貢献できるかを認識することを確実にする」
  5. 組織に「購買プロセス」或いは「購買情報」が規定されていない場合:
    7.4.1、7.4.2に抵触するが、これは文書審査の段階で発見されているはずである。それでももしあれば、4.1「組織は、この規格の要求事項に従って、品質マネジメントシステムを確立し、文書化し、実施し、かつ、維持すること」
以上