一般社団法人 日本品質管理学会
第47年度 自 2017年(平成29年)10月 1日
至 2018年(平成30年) 9月30日
事業報告

1.概 況(会長:小原 好一)

 日本品質管理学会(以下,JSQC)は,第44年度に,第50年度(2020年)を完成年度とする中長期計画QSHIN2020を取りまとめました.第47年度はQSHIN2020にもとづき,大久保尚武第44年度会長,椿広計第45〜46年度会長のリーダーシップのもとに創生された改革プランを実行に移す,PDCAの「Do」の段階にあると位置づけ,以下の活動を最重点活動として展開しました.

最重点活動 主な実施事項 今後の課題
1.JSQCの強みの育成
ものづくり×サービス×ICT×標準化 【基盤戦略としての品質経営】
・品質不祥事の再発防止に向けて緊急シンポジウム開催 ・活動の継続的な推進,及び経営層への訴求
【革新戦略としての品質経営】
・サービスエクセレンス部会,生産革新部会のキックオフ
・事業所見学会
・普遍的なツール,方法論の開発及び普及
【標準化推進】
・JSQC規格講習会の全国展開
・サービスの標準化推進(サービスQ計画研究会)
・普及及び新規規格開発
・個別サービス規格のシーズ発掘
2.クオリティに関する横串機能
JAQ(Japan Association for Quality)設立に向けた準備 組織先行から活動先行への方針転換
・【連携活動】標準月間,品質月間において活動推進(講演・テキスト)
・【組織】JAQ連携協議会(JSA・JUSE・JMA・JSQC)の定期開催
・重点テーマ(品質経営,国際標準化)の連携活動推進
・組織化推進
3.JSQCのガバナンス強化
【事業】企画・広報・学会誌の連携推進 ・【事業】開催件数増加及び開催エリア拡大(宮城・福岡・広島)
・【会誌】特集中心から活動報告中心への転換
・会員のニーズを先取りした事業企画の推進
・会誌のあり方について継続検討
【支部】中長期的なコミュニティ強化を視野に入れた企画推進 ・JSQC規格講習会(宮城・福岡・広島),及び事業所見学会(宮城・福岡)の開催 ・JSQCの強みと各エリアの特色に根ざした活動展開
【部会】サービスエクセレンス部会,生産革新部会の部会化 ・サービスエクセレンス部会,生産革新部会の活動開始(キックオフフォーラム,知識共有会) ・管理技術部会の強化(QMSから管理技術への適用拡大)
【公益化】公益化申請,会計業務の効率化推進 ・公益化申請(2018.5) ・認定後の公益移行
・税務会計業務を野総合 ・財務基盤強化(寄付金収集スキーム構築)

2.総合企画委員会(委員長:小原 好一)

 第47年度は,中長期計画QSHIN2020の実行段階にあり,重点施策の実行に注力するために,総合企画委員会は必要に応じて開催する方針としました.その結果として,総合企画委員会としての取り組みは,JAQ設立準備が主体となりました.
 JAQ設立に向けて,JSA・JUSE・JMA・JSQCを構成員とするJAQ連携協議会を隔月で開催し,従来の「組織先行」から「活動先行」に方針を改め,本年2月にJSA・JUSE・JSQCの共催により開催した緊急シンポジウムをファーストステップとして,品質不祥事の再発防止を主題とするテキストを刊行するとともに,標準月間,品質月間において講演を行い,その中でJAQ構想を明らかにしました.また,連携に資するテーマとして「品質経営」「国際標準化」について活動内容の検討を進めるとともに,産業界のニーズに応じて徐々に活動テーマを追加し,組織化を順次進めていく方向です.

3.庶務委員会(委員長:新倉 健一)

 第47年度は,最重点活動の一つである「ガバナンスの強化」を受けて,公益化,学会規則の見直し,会員サービスの充実などに取り組みました.
 「公益化」においては,公益法人への移行を前提として,定款,内規の見直しなど準備作業を進め,内閣府公益等認定委員会事務局に公益認定申請書を提出しました(2018年5月28日).その後,内閣府より指摘を受けた点の見直しが完了した段階で,再申請を予定しております.また,公益化を見据えて2018年10月より税務会計業務を税理士法人野総合会計事務所に委託し,ガバナンスの強化,及び会計業務の効率化を進めています.さらに,財務基盤の強化を目的として寄付金収集スキームの検討も進めています.
 「学会規則の見直し」では,昨年の組織改編を機として,組織名称の整合のみならず,実情との整合などの観点から順次見直しを進めました.
 「会員サービスの充実」においては,JSQCフェローの導入に向けて,認定基準など運用のしくみの構築を進めました.また,会員増強策の一環として,サービスエクセレンス部会,生産革新部会のキックオフフォーラムにおいて入会促進を目的とした施策を実施し,新規入会への新たなアプローチとしての役割を果たしました.

【会員サービス】(委員長:佐野 雅隆)
 会員数(括弧内昨年度末比)は,現在,名誉会員23名(増減無し),正会員1868名 (41名減),職域会員43名(2名減),準会員68名(9名増),賛助会員142社188口(4社4口減),賛助職域会員4名(増減無し),公共会員17口(増減無し)となっています.
 前年度に引き続き「JSQC認定上級品質技術者」および「JSQC認定品質技術者」に関して認定証を発行し,同制度の認知度を高める取り組みを行いました.またQC検定1級および2級の合格者に対しては学会年会費が割引となるキャンペーンを行いました.


4.活動委員会(事業を含む)(委員長:棟近 雅彦)

【研究開発】(委員長:山田 秀)
 研究開発委員会では,以下の活動を行いました.
@例年通り,各研究会の活動予算を審議し,各研究会に配分しました.
A研究会の研究成果や活動内容を学会誌へ掲載する活動を実施し,品質誌に「部会研究活動報告」,「研究活動報告」という欄を設け,継続的に発表していくことにしました.

【学会誌編集】(委員長:伊藤 誠)
 第47年度も例年どおり,年4冊の学会誌『品質』を発刊しました.
 第47年度は,事業委員会,研究開発委員会と密接に連携し,研究会報告や部会報告を中心に掲載してきました.この編集方針の変更は,新中期計画に記載されている学会誌再編成の指針に従うものです.ただし,学会誌を学会員にとって魅力的なものにするために,チュートリアルセッションやクオリティトークの講演内容を収録したり,学会主催の講演会での講演内容を収録したりしてきました.さらに,支部の活動についても,紹介していくように努めました.そして,JSQC規格の解説を連載してきました.
 おおむね計画とおりに刊行できたものと考えています.

【事業・広報】(委員長:斉藤 忠)
 47年度の活動計画としては,本部行事として,以下の計画を掲げました.47年度は東日本支部,西日本支部が新設し,東日本は従来の本部と被るためにベースがありましたが,西日本は全くベースがないことから47年度の事業は東日本と西日本の合同で事業を進めて参りました.また,部会については新たな学会の方針で生産革新部会,サービスエクセレンス部会が新設されたことから,IoTやAIの活用研究,日本のおもてなしサービスを品質で対応した事例研究も意識し,地域と研究テーマと連動した事業として,東日本地域にて講習会を仙台で,事業所見学会をトヨタ自動車東日本(宮城県),日本の宿 古窯(山形県),西日本地域にて講習会を福岡と広島で実施しました.従来,関東,中部,関西での開催に偏っていた行事を各地で開催することで,より学会員の満足度向上に寄与させる活動を進めてきました.

表.47年度事業計画と実績

  年次大会 研究発表会 講演会 シンポジウム
(各研究会より)
JSQC規格
講習会
事業所
見学会
Qトーク
47年度計画 1 1 1 2 2 3 5
47年度実績 1 1 1 0 6 4 5

 広報活動については,学会ホームページのリニューアルについて,庶務委員会を中心に検討を開始しています.また,事業活動の早期の学会員の方々への情報提供として,学会ホームページの行事一覧の中に,「速報掲載」をアップし学会員の皆さまへ情報の提供を図ってまいりました.

【JSQC選書】(委員長:飯塚 悦功)
 品質に関わる概念・方法論・手法を社会が理解し適切に適用できるように支援するための一方法として、品質マネジメントに関わる、基本的考え方、マネジメントシステム、手法・技法、推進・運用、さらには品質に関わる時事の背景・意味の解説をする一連の書籍の出版化検討(企画・編集)をJSQC選書刊行特別委員会で進めました。
 同委員会を2回開催し、発行書籍候補の列挙、短期(1年程度)的な発行計画(主題、著者、発行時期など)を審議し決定しました。決定された主題にかかる構想の審議や原稿案の査読を行い、下記の書籍発行に向けた準備を進めました(出版社:日本規格協会)。
  ・『企業の持続的発展を支える人材育成の実際(仮)』(村川賢司) 今秋発行予定

4-1.東日本支部(支部長:小原 好一)

 関東エリアのコミュニティ強化を目指して,活動委員会(事業・広報)が中心となりクオリティトーク,事業所見学会を企画・開催しました.
 また,東北エリアのコミュニティ強化を志向して,事業所見学会,JSQC規格講習会を企画・開催しました.

4-2.中部支部(支部長:佐々木 眞一)
(1) 研究会活動
1)東海地区 若手研究会[南山大学:松田教授 主宰](計画6回/実績5回 ※台風による延期のため)
*主にSQCに関連する問題提起と解決方法を議論し、実践的な「問題解決力の向上」につなげる
2)北陸地区 若手研究会[金沢工業大学:中野講師 主宰]研究発表会(計画1回/実績1回)
*グローバル競争を見据えた産学連携による「SHINKA」の発信を目差す
*研究発表会:2月25日、出席者:22名 発表件数:13件  
3)中部医療の質管理研究会[中部学院大学:國澤教授 主宰 医療側:松波総合病院 松波院長](計画6回/実績4回)
*各部会(看護・薬剤・事務)を主管とし、課題や今後の方向性を議論する場を提供する
*シンポジウム:12月10日、出席者:58名
 定例会(研究会):3回実施[奇数月開催]
4)中部支部産学連携研究会[愛知工業大学:仁科教授 主宰](計画6回/実績6回)
*産学からテーマを持ち寄り、学と産が双方向に情報発信を行う
(2) 研究発表会(第117回)
*日 程 :8月29日13:00〜18:10(場所:名古屋工業大学)
*参加者:55名
*発表内容 :発表件数12件
(産業界6件、学術界5件、医療界1件 / 若手研(東海)1件、産学連携研1件、医療の質管理研1件)
(3) シンポジウム(第165回)
*日 程 :7月23日13:00〜17:00 (場所:名古屋工業大学 4号館ホール)
*参加者:106名
*テーマ:「ヒューマンエラーのしくみを考える」
 〜「失敗学」の観点と「労働災害」「医療現場」の実例を通して〜
 ・基調講演 飯野 謙次氏[失敗学会 副会長]
 ・事例講演 三国 外喜男氏[丸の内労務管理事務所]
 ・事例講演 長尾 能雅氏[名古屋大学医学部附属病院 副病院長 教授]
 ・パネル討論会  パネルリーダー 荒川 雅裕氏 [名古屋工業大学大学院 教授]
パネラー     飯野氏、三国氏、長尾氏 および会場参加者
(4) 講演会(第133回ミニ講演会)
*日 程 :9月28日18:00〜19:30(場所:日本規格協会 名古屋支部)
*参加者:24名
*テーマ:「未来の品質から探る品質活動の未来」
*講師:椿 広計氏[独立行政法人 統計センター 理事長]
(5) 事業所見学会
*第1回(第400回):ミツカングループ本社並びにMIZKAN MUSEUM(愛知県半田市)[日程:2月14日 参加者:23名]
*テーマ『食品会社(ミツカン)の品質保証」〜買う身になって まごころこめてよい品を〜』
*第2回(第404回):社会医療法人蘇西厚生会 松波総合病院(岐阜県羽島郡笠松町)[日程:6月21日 参加者:24名]
*テーマ『病院の品質管理について』
(6) 幹事研修会 
*第1回 5月11日:テーマ『データ品質について』
       講師:株式会社デンソー 吉野 睦氏



幹事・代議員 25名および 参加希望者16名 計41名参加
第2回 8月31日:作田金銀箔株式会社・津田駒工業株式会社の2社訪問
幹事・代議員 15名参加
中部でありながら情報の少ない北陸地区の企業を訪問し、地域に根ざした品質管理の取組や人材育成について情報収集する
(7) 役員会
*第1回  平成30年2月 7日 日本規格協会 名古屋支部 セミナーホール
*第2回  平成30年10月1日 安保ホール 5階 501会議室

4-3.関西支部(支部長:亀田 毅)
(1) 事業所見学会
第398回 1月31日(水):川村義肢梶@大東本社[参加者24名]
 「川村義肢鰍ノおける義肢・装具の製作工程と改善活動の取組み」
→ 製造現場のみならず歴史資料の見学や,講演では製品設計から製造過程,QCサークル活動をご紹介いただくなど,丁寧な対応で大変充実した見学会となった.
 第402回 6月 5日(火):アサヒビール梶@吹田工場[参加者44名]
 「アサヒビール鰍ノおける製品開発および品質向上への取組み」
→ 「ドライゼロ」の開発ストーリーや確かな品質の製品を安定的に製造するための品質保証の取り組みなどをご紹介いただき,大変充実した見学会であった.
(2) 講演会
第132回 8月1日(水)13:15〜17:15:大阪大学中之島センター[参加者60名]
 「「方針管理」と「日常管理」 〜日本品質管理学会規格に学ぶ〜」
講演@: 「日常管理の本質を考える」
 古谷 健夫 氏(トヨタ自動車梶@業務品質改善部 主査)
講演A: 「方針管理による変化への対応」
 安藤 之裕 氏(TQMコンサルタント(技術士),JSQC標準委員会 委員長)
→ 講演@では,現場でいかに日常管理を実践するかについて,ものづくり現場での取り組みという立場から体験を交えて講演いただいた.講演Aでは,日常管理と方針管理の融合に始まり,方針管理の必要性と実践方法,方針管理が形骸化しない工夫について,事例を交えながら講演いただいた.アンケート結果は上々であった.
(3) シンポジウム
第164回 7月10日(火)13:15〜17:00:大阪大学中之島センター[参加者 56名]
「しなやかな現場をめざして〜安全マネジメントの新しい考え方「レジリエンス」を知る〜」
講演@:「「失敗を防ぐ」から「成功を続ける」マネジメントへ
      〜しなやかな現場力を創るには〜」
 芳賀 繁 氏(且ミ会安全研究所 技術顧問・博士(文学))
講演A:「“しなやかさ”を実現する組織のあり方
      〜レジリエンス,高信頼性組織の観点から〜」
 長谷川 尚子 氏((一財)電力中央研究所 原子力リスク研究センター 上席研究員)
パネルディスカッション: 司  会: 今野 勤 氏(神戸学院大学 経営学部 教授)
  メンバー: 芳賀  繁 氏(講演者)
    長谷川 尚子 氏(講演者
→ レジリエンス・エンジニアリングの考えに基づいた安全マネジメントのあり方,個人のマインドフルネス,しなやかな組織運営のポイントなど,実践例を交え,わかりやすく講演いただいた後,「安全マネジメントの新しい考え方を知る」をテーマにパネル討 論を行った.アンケート結果は上々であった.      
(4) 研究発表会
第118回 9月14日(金)11:00〜16:15:大阪大学中之島センター[参加者50名]
特別講演: 「製造現場でAI(機械学習)は本当に何ができるのか?」
小野田 崇 氏(青山学院大学 理工学部 経営システム工学科 教授)
→ 発表件数は10件(研究7件、事例3件).優秀発表賞の表彰を行った.
(5) 研究活動報告
1) 実用的統計手法研究会
「新たなSQCの開発・実践を行うこと」「誤用を防ぐために既存SQCの再検討を行う こと」「統計的方法論を実用普及する際のツール(教育教材等)開発・提案を行うこ と」を行った.
2) ダイナミックロバストマネジメント研究会
これまで研究してきた「科学的先手管理七つ道具(SE7)」と2015年改訂されたISO MSの品質,環境規格の特長,意図とを俯瞰的に融合して組織の文化へのマッチング,コミュニケーションを明確にし,従来,企業経営に有効なマネジメントシステムとして実地で検証されてきた日本的なTQMと高度な先進技術(IoTなど)との相互関係,ヒューマンエラー,モノづくりのレベルアップ策等に関して,品質管理学会が培ってきた数々のQC技術をベースにし,ダイナミックな問題解決アプローチを体系化している.
(6) QCサロン
第114回 10月 4日(水)太田 雅晴 氏(大阪市立大学)[参加者31名]
 「将来の日本を担う人財をどう育てるか −TQMを通して−」
第115回 2月 5日(月)清水 貴宏 氏(パナソニック AIS社)[参加者40名]
 「経営成果創出に繋がる統計的方法論の活用と課題」
第116回 4月19日(木)長崎 俊夫 氏(元 住友電気工業梶j[参加者33名]
 「日本的品質管理の振り返り −ものづくりに45年間、従事した体験から−」
第117回 6月 6日(水)山田 伊知郎 氏(桃山学院大学)[参加者18名]
 「組織の質を考える −ある自動車ディーラーの取り組み−」
 ※ 8月23日(木)は,台風の影響により開催中止.
(7) 合同役員会
2017年10月4日(水),2018年2月5日(月),4月19日(木),6月6日(水),8月23日(木)

4-4.西日本支部(支部長:長坂 康史)

 西日本支部の活動として,事業委員会と連携し,JSQC規格講習会を2回及び事業所見学会を1回,実施しました.
(1) JSQC規格「方針管理の指針」講習会
日 程: 2018.07.03(火)13:15〜16:45
場 所: カンファレスASC(福岡県福岡市博多区)
内 容: JSQC規格「方針管理の指針」講習会
受講者: 16名
(2) JSQC規格「日常管理の指針」講習会
日 程: 2018.08.08(水)13:00〜17:00
場 所: 広島工業大学 広島校舎(広島県広島市中区)
内 容: JSQC規格「日常管理の指針」講習会
受講者: 24名
(3) 第406回 事業所見学会(西日本・北九州)株式会社安川電機ロボット村
日 程: 2018.10.03(水)13:30〜16:30
場 所: 株式会社安川電機 ロボット村
(ロボット工場,安川電機みらい館,安川電機歴史館)
テーマ: “メカトロニクス”というコンセプトをはじめて提唱したのは,YASKAWAです
参加者: 10名

4-5.生産革新部会(部会長:浅羽 登志也 45名:サービスエクセレンス部会と合同開催) 

 サービスエクセレンス部会と合同で,2018年8月30日に,東京大学福武ラーニングシアターにおいて70名を超える参加者のもとに「キックオフフォーラム」を開催し,社会大変革の先にある未来から逆算する形で,革新戦略として取り組むべき品質経営について課題を明らかにしました.続いて,社会変革を深く認識するとともに,革新戦略の基盤概念となる「顧客価値づくり」について共有することを目的とする「知識共有会」を2018年10月からスタートしました.) 

4-5-1.信頼性・安全性計画研究会(主査:岡部 康平 16名)

 第四期の3年目であり,第3期より注目してきた老朽化の安全性問題に関連して,次期社会インフラ全般が備えるべき品質およびその管理の観点より,安全性問題の根本的課題を掘り下げ,未然防止への展開を検討しました.また,世間を騒がした製造業の不正問題についても,委員の独自調査結果に基づき討議を行いました.
(1) 信頼性・安全性作りこみ技術
 製品安全における未然防止の実効性向上を目的に,ネットワークを介して製品等の状態を常時監視することで,信頼性・安全性を管理するIT技術等に注目しました.リコール制度の効果にも注目し,自動車をはじめとする信頼性・安全性の設計・管理技術における喫緊の課題を整理するとともに,その原因の把握にも取り組みました.また,製品安全の第三者的な市場監視や個別事故調査の有用性・必要性についても議論しました.今後も,製品が市場に普及した後の,安全性を維持・管理する手法・技術について調査・検討を進めます.
(2) 安全・安心を達成するための社会インフラ構築
 前年度に引き続き,新規発展分野の社会インフラにおける安全設計から管理体制にいたる品質管理の現状と動向を調査し,それらインフラの今後の展開について検討しました.自動車の自動運転技術やドローンの次世代運送システムにおける安全管理問題を鉄道運送管理などの既存の技術・体制と照らして検討し,新規社会インフラにおける安全面での独自性を把握しました.ドローンの次世代運送システムのリスク分析を実施して,リスク管理体制の課題と対応についてもより具体的に検証を始めました.
 レジリエンスな組織,事業継続の実現については,第三期で提起した「社会品質」という新たな大局的な品質概念の観点から議論を進めました.事業継続の礎として,安全性自体が利潤となり投資の対象となるような,安全性の魅力的品質について,具体的な定義を議論するとともに,魅力的品質を達成するために必要な取り組みについても検討しました.
 品質管理を重視する組織文化の樹立と継承については,製造業者の不正問題をうけ,不正防止・改善を自発的に促すための本研究会提言案を検討しました.コンプライアンスの定義や解釈を議論するとともに,内部通報制度や品質管理体制,第三者による監視の枠組みなどを,企業の品質管理担当者や経営者らが,自ら自己採点して評価できるような,チェックリスク形式での確認項目,改善項目を多角的に検討して10箇条程度にまとめるように総括しました.
(3) 研究成果のとりまとめと情報発信
 第四期の3年目であり,第四期における成果を総括しつつ,公表内容やその方法を討議しました.注目課題であるドローンの専門家と連携することで,研究会の成果を公表した後に,それらが活用される枠組みや今後の展開を検討しました.また,不正問題に対する提言案を取りまとめ,各委員のそれぞれの立場から,不正問題への提言を会誌の連載で情報発信する計画をたて,執筆に取り組みました.

4-5-2.テクノメトリックス研究会(主査:青木 敏 10名)

 テクノメトリックス研究会では、「統計的手法を中核とした品質管理手法の開発・普及」のために、手法、考え方、事例などについて幅広い視点から研究してきました。研究会はおおむね3ヶ月に1度の開催で、メンバーが上記の手法、考え方、事例などについて紹介し、メンバー間での議論により研究成果を練り上げていきました。議論したテーマは因果推論、2値入出力系に対する有意差検定、多変量2値データに対するモデリング、総合評価指標、マルチレベルデータ解析、計算代数手法など多岐にわたっています。また、JSQC研究発表会や品質誌をはじめとするさまざまな学術雑誌をとおして、研究成果を報告しました。

4-5-3.製造業のためのビッグデータの解析あり方研究会(主査:小野田 崇 19名)

 製造業のためのビッグデータの解析あり方研究会は,品質管理分野でビッグデータ・機械学習を有効に利活用する際の課題を討議することを目的に公募研究会として発足しました.
(1) 開催概要
本研究会は2ヶ月に1回のペースで,全7回開催しました.
(2) 活動内容
本研究会では次の議題を取り上げ,研究会メンバーで討議を行いました.
代表的な機械学習手法の概要説明と適用事例の紹介
研究会メンバーにご提供いただいたデータの分析
機械学習の有効な活用場面・位置付け等に関する討議
ビッグデータ・機械学習の教育カリキュラムに関する討議
特に,機械学習の有効な場面の討議では,人間が見る・聞くことによって判断していたことを機械学習で置き換えるという観点で討議を行いました.
(3) 活動報告
本研究会の活動報告を3回に分けて品質誌に掲載しました(第1報,第2報はVol.48, No.3, 2018,Vol.48, No.4, 2018にそれぞれ掲載済み.第3報はVol.49, No.1, 2019に掲載予定).

4-6.サービスエクセレンス部会(部会長:水流 聡子 45名:生産革新部会と合同開催) 

 生産革新部会と合同で,2018年8月30日に,東京大学福武ラーニングシアターにおいて70名を超える参加者のもとに「キックオフフォーラム」を開催し,社会大変革の先にある未来から逆算する形で,革新戦略として取り組むべき品質経営について課題を明らかにしました.続いて,社会変革を深く認識するとともに,革新戦略の基盤概念となる「顧客価値づくり」について共有することを目的とする「知識共有会」を2018年10月からスタートしました.

4-6-1.サービスのQ計画研究会(主査:水流 聡子 17名)

 複数省庁・企業・学術組織に所属する約20名の委員からなる「サービス標準化委員会」に,サービス規格の基本理念・原則 (A-Standard)・個別サービス規格開発のための指針及びサービス関連用語(B-Standard),を提案しました.
 2017年11月16日に,日本橋三井ホールにて「サービスエクセレンスの実現 ―共創を取り入れた標準化―」というテーマで,第2回サービス標準化フォーラムを,日本規格協会・JSQC・サービス学会の共催で開催,ドイツのDINから講演者を招待し,基調講演・パネルディスカッションを行いました.

4-7.医療の質・安全部会(部会長:棟近 雅彦 125名)

 今年度の研究活動は,QMS-H研究会との共同研究,医療の質マネジメントシステム監査研究会(略称:医療QMS監査研究会)および医療経営の総合的「質」研究会の3研究会で,医療の質マネジメントの方法論に関する研究を進めて参りました.
(1) QMS-H研究会との共同研究
 今年度は,医療QMS診断,業務改善指標,文書管理,医療の質・安全教育を重点テーマとして研究を進めました.例年開催している最終成果報告シンポジウムを,2018年3月3日に早稲田大学で開催しました.テーマは,「組織で保証する医療の質 QMSアプローチ」で,100名以上の方が参加し,活発な議論が行われました.2018年度の中間成果報告会は,2018年9月に明石市立市民病院で行いました.研究発表も,本学会はもちろん,医療の質・安全学会,ANQ,QMOD等で,部会員の研究発表を行っています.
(2) 医療QMS監査研究会
 今年度は,ISO 9001:2015の特徴を分析し,それをふまえた医療のQMSへの活用方法について研究を進めました.特に,2015年版で新たに加わった要求事項について,審査の視点と確認事項を明らかにしました.2017年11月には,年次大会研究発表会で中間報告を行いました.
(3) 医療経営の総合的「質」研究会
 医療事故調査等の活動と医療のTQM七つ道具,医療機関のTQM普及に関しては,研究会メンバーが厚労省,全日本病院協会等への会合に参加し,啓発に努めてまいりました.また,定期的に研究会でも議論するとともに,特性要因図,業務フロー図に関する講習会をそれぞれ1回ずつ開催しました.
 医療アラームに関する検討では,生体情報モニタに関する講演会を開催しました.また,生体情報モニタに関して,その現状と具体的な改善策とその成果をまとめています.生体情報モニタの品質特性に関して,ベンダと医療機関,品質管理専門家とともに品質機能展開を実施中です.さらに,生態情報モニタ,ナースコールの特性要因図,同関連事故の根本原因分析を検討中です.企業の品質に関する諸問題が多数発生しており,その背景を分析することは,医療,品質管理の実務者,企業のトップマネジメント,アカデミアの品質管理研究者が集う当研究会の重要な責務と考えており,議論を進めています.
(4) 医療の質マネジメント基礎講座
 アウトリーチ活動の一環として開催している「医療の質マネジメント基礎講座」を,今年度も目白大学メディカル研修センターとの共催で開催しました.2018年5月から8月にかけて実施し,昨年度同様延べ約550名の方が受講しました.QMS-H研究会参加病院以外の病院からの参加者が昨年度までは2割程度でしたが,今年度はほぼ5割になり,医療界に認知されてきています.

4-8.ソフトウェア部会(部会長:兼子 毅 79名)

 第47年度は以下のことを行いました.
・ソフトウェア部会の会合を一ヶ月に1回程度開催し,ソフトウェア技術者の教育プログラムとして,特に,要件定義の文書に関わる議論を行いました.さらに、議論がひと段落したため、今までの議論をまとめるとともに、新たな活動テーマの議論を始めました。
・メーリングリストやSNSを利用した情報交換及び情報発信を行いました.
 部会メンバー間の情報交換をメーリングリストで行うとともに,SNSを利用した情報発信を行いました.
・ソフトウェア開発関連の行事に積極的に協賛・後援しました.
 昨年度同様,他団体との連携を行い,各種行事の後援などを行いました.

4-9.管理技術部会(部会長:金子 雅明)

 これまではQMS審査員の審査技術向上とQMS改善のツールの開発などを目的とした「QMS有効活用及び審査研究部会」の活動が中心でしたが,時代のニーズや変化に対応するためにその活動範囲や対象を今後より広げていくことを意図して「管理技術部会」に名称変更しました.当部会下に従来の「QMS有効活用及び審査研究部会」の活動を位置づけ,以下の活動を実施しました.
(1) QMS有効活用及び審査研究会(部会研究会主査:福丸 典芳 132名)
当部会研究会の活動状況を品質誌VOL48.No1.2018に投稿を行うとともに,次の7つのワーキンググループで研究活動を実施しました.また,部会メンバーに対してメルマガを発行し,活動状況や規格改定の動向に関する情報提供を行いました.
WG1:ISO 9001の本質的適用に関する研究(QMSの実践的活用)
前年度に引き続き研究活動を行い,本質的適用に関する展開についてVOL48.No1.2018の品質誌に投稿を行いました.
WG2:QMS要素に着目したプロセス中心の組織活動のモデル化の研究
2018.5の研究発表会で@アパレル業界での事業活動ネットワークのモデル化,Aプロセス中心の品質マニュアルの構造のモデル化(中規模製造業の事例)について研究報告を行いました.
WG3:ISOの規格変更に惑わされず,組織の本来業務で実践するQMSの研究
樹脂加工の小規模メーカー1社をモデルとして,品質と環境を統合する組織のマネジメントシステムの実践研究を行いました.
WG4:QMSリスクマネジメントのツール開発の研究
2017.11 第47回年次大会で新製品開発時のリスク回避方法について研究報告を行い,品質目標作成時のリスク対応について研究を行いました.
WG5:アウトソーシングマネジメントの効果的運用方法の研究
グローバルサブライチェーン管理などに着目したアウトソーシングマネジメントの効果的運用ガイドについて報告書の検討を行いました.
WG6:ISO 9001(2015年版)対応中小企業のQMSモデルの研究
今までの研究成果をもとに,「組織の立場でのISO 9001推進法の研究の経緯とこれから」について品質誌VOL48.No1.2018に投稿を行うとともに,「ISO 9001(2015年版)対応中小企業のQMSモデルの研究」に関する報告書を作成しました.
WG7:審査・内部監査技術に関する研究
これまでの活動状況について,品質誌VOL48.No1.2018に投稿を行いました.47期でとりまとめた方法論での審査・内部監査での検証データを集め,方針管理及び日常管理とISO 9001要求事項との対応付けを行い,QMSの有効性を高める審査・内部監査技術の開発の研究を行いました.

5.標準委員会(委員長:安藤 之裕)

(1) JSQC規格を制定・見直しを行いました.
@「品質管理教育の指針」が2017年11月に制定されました.
A「品質管理用語」の見直しを実施し改正いたしました.
B 「日常管理の指針」の見直しを実施し「継続」することといたしました.
(2) 新しいJSQC規格の制定を推進しています.
「新製品・新サービス開発管理の指針」2019年の完成を目標に,原案作成を推進しています.
(3) JSQC規格のJIS化を推進しています.
@「プロセス保証の指針」がJIS Q9027として制定されました。
AJIS Q9023の定期見直しに合わて「方針管理の指針」に改定しました。
(4) JISの見直しをしました.
「マネジメントシステムのパフォーマンス改善−継続的改善の手順及び技法の指針」ならびに「マネジメントシステムのパフォーマンス改善−品質機能展開の指針」の定期見直しを行い,「継続」することとしました.
(5) JSQC規格の普及活動を継続して推進してきました.
@事業委員会等と連携し,規格の定期開催を計画し,「日常管理の指針」「小集団改善活動の指針」「方針管理の指針」「プロセス保証の指針」「品質管理教育の指針」に関する講習会を多数回実施いたしました.

6.学術委員会(委員長:黒木 学)

 6-1.論文誌編集,表彰(学術)小委員会
 【論文誌編集】(委員長:黒木 学)
論文誌編集委員会では以下の活動を行いました.
(1)  ほぼ,毎月1回の論文誌編集委員会を開催しました.論文誌編集委員会の責任に基づき,査読意見を参考にしながら,編集委員会が掲載の可否を判断してきました.また,「著者責任」を基本とし,新規性・価値のある主張を含む論文については掲載する方向で進めました.
(2)  カザフスタンのアルマティで開催されたANQ Congress 2018にあたり,国際交流委員会の委託を受けて,以下の活動を行いました.
1) JSQCから提出された全てのアブストラクト(全45本)に対する審査
2) フルペーパーに対するBest Paper Awardの審査
(3)  投稿論文審査のスピード化も引き続きめざした結果,大幅に遅れるものはなくなっています.さらに迅速に審査が進むように,次年度以降も管理を徹底いたします.
(4)  国際交流委員会と連携して,ANQ 発表論文を対象とした英文電子ジャーナル(Total Quality Science)の発行を行いました.47年度はVol.3 No.1,Vol.3 No.2を発行しました.論文数は年間10報と,概ね目標通りの数を掲載できています.
(5)  47年度は,昨年度に引き続き論文掲載料の検討をいたしました.論文掲載には相当なコストがかかるため,学会の財政状況を鑑みますと,論文掲載料の徴収は避けらない状況です.会員の理解を得つつ,引き続き検討を続けます.
(6)  学会誌編集委員会と連携して,品質誌の電子ジャーナル化(J-Stageでの発行)を検討しました.詳細につきましては,引き続き検討を続けます.
(7)  研究発表会の活性化を目的として優秀発表賞制度を創設し,投稿論文数の増加を促進するための新規投稿区分として研究速報論文を創設しました。
(8)  表1に過去5年間(43年度〜47年度)の月別投稿論文数を,表2に過去5年(42年度〜46年度)の投稿区分別採択数を示します.47年度は審査中のものがありますので,採択数は42年度から46年度を示しました.一度却下されたものが再投稿される場合もありますので,単純に採択率を計算することはできませんが,おおむね4割程度が採択されています.
 

表1 過去5年間の月別論文投稿数

  10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月
43年度 0 1 3 3 1 4 4 5 4 1 2 2 30
44年度 2 1 2 5 0 0 1 2 1 0 1 1 16
45年度 0 0 1 2 1 3 0 1 0 1 0 1 10
46年度 1 4 1 1 1 3 2 0 1 3 0 2 19
47年度 0 2 1 2 0 1 1 4 1 0 1 2 15

 

表2 過去5年間の投稿区分別採択数

  42年度 43年度 44年度 45度 46年度 採択率
  投稿 採択 投稿 採択 投稿 採択 投稿 採択 投稿 採択
23 10 30 5 16 9 10 3 19 7 34.7
報文 8 4 14 3 5 1 3 1 3 2 33.3
技術ノート 2 3 2 0 1 1 0 0 1 0 66.7
調査研究論文 4 0 2 1 2 2 3 0 2 0 27.2
応用研究論文 3 2 4 1 5 4 2 0 6 1 40.0
投稿論説 0 0 4 0 0 0 0 0 0 0 0.00
研究速報論文 - - - - - - - - - - -
クオリティレポート 6 1 4 0 3 1 0 1 7 5 40.0
QCサロン 0 0 0 0 0 0 1 1 0 0 100.00
レター 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0.00

【研究助成特別】(委員長:仁科 健)
 本事業は学会創立30周年記念事業として第31年度より開始されたものです.助成金額は1件5万円で4件以内.対象者は,日本品質管理学会の正会員もしくは準会員,申請時に35歳以下で大学・研究所・研究機関等において研究活動を行っている者,留学生の場合は日本の大学院に在籍する外国籍の留学生等の要件を満たす者です.本年度は4名の応募があり,研究助成選考内規に則り4名を選考しました.

6-2.国際交流,学会間交流小委員会(委員長:棟近 雅彦)
 【国際交流】
第47年度の国際委員会では,以下の事業を実施しました.
(1)  ANQ 2018への参加
 カザフスタンのアルマティにて,2018年9月19・20日に,ANQ(Asian Network for Quality)総会が開催されました.カザフスタンのKOQIMが主催し,Prof. Azat drakhmanov ANQ会長のもと,ホテル(Soaltee Crowne Plaza)が,会場および推奨宿泊ホテルとなりました.参加総数は約300名(大会前日の理事会情報),JSQCからは発表約50件,参加者総数約60名と,ANQ参加組織中,最大の発表件数と参加者でした.ANQという国際会議での発表の場を若手に提供できていることで,以前に比べると若手の発表の質が向上してきており,また徐々に研究者・大学教員の発表も増えてきています.JSQCにとってANQは人材育成・研究業績向上のためのひとつの有用な「場」となっているように思われました.
(2)  ANQの安定的発展のための調整
 2018年の春にはホーチミン,秋にはアルマティで,ANQ理事会が開催されました.JSQCとしてANQの発展に積極的に関与しています.財務委員会,ANQ-CEC(ANQの品質管理検定委員会),Ishikawa Kano Award委員会,に委員を派遣しています.財務委員会では,JSQCが委員長を務めております.
(3)  英文電子ジャーナルの刊行
 英文電子ジャーナル(Total Quality Science)の4年目の刊行が完了し,TQSへの投稿に対する期待もあり,ANQ発表件数は増加し続けています.
(4)  海外の品質に関連する学協会とのアライアンスに関する検討
 幅広く海外の学協会と交流をもつための具体的方策について継続して検討しています.

【学会間交流】(委員長:棟近 雅彦・金子 雅明)
 47年度も引き続き,FMES代表者会議,FMES/JABEE委員会,FMESシンポジウムに参画し,経営工学関連学会との交流,JABEEの審査活動,FMESシンポジウム等の活動に,中核団体として協力してまいりました.FMES代表者会議は,2018年5月に開催され,委員会活動,シンポジウム等の活動報告,2018年度の活動計画等について討議しました.また,FMES事務局は,OR学会に引き継がれました.FMESシンポジウムは,2017年11月に日本経営工学会担当で「Society 5.0時代の経営工学」というテーマで開催されました.横幹連合に関しては,これまでの活動を継続し,特に積極的な参画には至りませんでした.

横幹連合関係(委員長:椿 広計)
 第46年度に引き続き,横幹連合正会員としての活動を継続し,横幹連合正会員としての横幹連合諸行事の共催,依頼のあった日本品質管理活動紹介を横幹連合機関紙「横幹」へ投稿すると共に.コトつくり至宝への「QCサークル活動」登録推薦などを行いました.また,横幹連合役員推薦に応えました.その結果,椿理事が横幹連合理事に末岡監事が,横幹連合総会で横幹連合監事に選出され,横幹連合の事業企画などに当たることとなりました.

7.安全・安心社会技術連携特別委員会(委員長:伊藤 誠)

 日本原子力学会(ヒューマンマシンシステム研究部会/社会・環境部会)等との共催の「安全・安心のための管理技術と社会環境」ワークショップを,2017年12月下旬に実施するとともに、2018年12月実施予定分についても、実施に向けて準備を行いました.また,自動車事故対策機構等の審議についても引き続き参加・協力 しています.特にISO 39001の普及をめざし,ISO TC241/WG 4 marketing committeeに参画しています.
 
8.TQE(問題解決力向上の為の初等中等統計教育)特別委員会(委員長:鈴木 和幸)

 問題解決教育を通して,自己啓発・相互啓発が為され,一人ひとりの潜在的能力を引き出し,自らが主体性を持って行動し,人に優しく,社会に貢献し,人間的成長を図るべく,本委員会として下記の活動を行いました.
(1)  文部科学省中央教育審議会・教育課程部会・数学ならびに情報ワーキンググループの両者に対し,平成28,29、30年度に本委員会の委員が参画し,問題解決教育の必要性・統計教育の充実などの意見表明を行い,次期高等学校学習指導要領に貢献しました.
(2)  高等学校数学科の学習指導要領案に対し,2018年2月14日にパブリックコメントの募集がなされ,これに対し,当学会TQE特別委員会は、学習指導要領案への全面的な支持,米国STEMプログラムに準じる科学的問題解決を指導しうる教員の系統的養成と当委員会よりの支援・協力を惜しまないことなどを示しました. 詳細は品質誌Vol.48, No.8, pp.25-26(2018)をご覧下さい.
(3)  平成30年3月24日に電気通信大学(東京・調布市)で第7回科学技術教育フォーラムを文部科学省・総務省・日本科学技術連盟・日本規格協会・諸学会などの協賛を基に開催しました.「次期学習指導要領で目指すもの」をテーマに開催し,新学習指導要領の重要な改訂点と実践への示唆を中心とした講演及びパネルディスカッションを行いました.
(4)  TQE特別委員会より品質誌Vol.48, No.8(2018)に,“データサイエンスと品質マネジメント:その方法と教育(椿広計委員)”,“データサイエンス教育の体系化に向けた学習指導要領の改訂(渡辺美智子委員)”,“米国にみる教育・産業への挑戦と我が国が学ぶべきこと(鈴木和幸)”の報告をさせて頂きました.
(5)  統計グラフコンクール日本品質管理学会賞受賞作品を選定し,平成30年11月19日に開催される第68回全国統計大会の中で第66回統計グラフ全国コンクールの優秀作品に日本品質管理学会賞を授与します.