社団法人日本品質管理学会
第38年度 自 2008年(平成20年)10月 1日
至 2009年(平成21年) 9月30日
事業報告

1.概 況(会長:大沼 邦彦)

 本学会を取り巻く環境は、前年度に比べて一段と厳しい状況にありましたが、変革する社会に貢献する品質管理を目指して、社会の動向・ニーズを把握しつつ中期計画を着実に実施して行くことが、「品質立国−日本の再生」の実現に貢献するものであり、また本学会が社会に大きく認知され、そのポジションの向上に繋がるとの方針で活動推進してきました。
 38年度は、前年度の「Qの確保」、「Qの展開」、「Qの創造」と「共通領域の推進」の4本柱を継承し、更に充実発展を図るべく運営しました。また新たに策定した第2期中期計画の最初の年度であり、各計画がスムーズに立ち上がり展開するように努めました。即ち、第1期中期計画は、学会として初めての試みの為、試行面もありましたが、第2期はこれを立派に育て学会として有効に活用し合うものにして行く様、メンバーが活用し易いことも配慮した運営を図りました。また年度半ばでのローリングを行い、学会として優先度の高いものを確認し次年度への展開も図るようにしました。
 4本柱の主な活動は次の通りです。
(1) 「Qの確保」では、産学連携の拡大と成果の発信を図りました。従来のA、B 2社については成果の刈り取りと活用事例としての発信を行い、新規テーマはC、D、E、Rの4社に業態を拡げてトライ着手を進めました。今後の成果を期待したいと思います。また、信頼性・安全性計画研究会については3年目の最終年度の成果を取り纏め、品質誌の特集掲載や研究発表会など積極的に発信を行いました。
(2) 「Qの展開」では、従来から精力的に取り組んでいる医療の質・安全部会の活動成果として質マネジメントに関する成果発表や基礎講座の再スタートを行いました。また、社会インフラとして安全・安心ニーズの高い原子力についても原子力特別委員会では関連学会と原子力発電の安全管理と社会環境に関するワークショップを開催しました。
(3) 「Qの創造」では「サービス産業における顧客価値創造」研究会の成果発表や、日本科学技術連盟の「次世代TQMプロジェクト」と共同で次世代の核となる革新的な品質管理技術の開発に向けた活動の推進を行いました。
(4) 「共通領域」では、学会が2年の月日をかけて推進した「新版品質保証ガイドブック」の編集が終わり2009年11月の出版を、またJSQC選書は本年9月で累計6冊の発刊を、それぞれ日科技連出版社、日本規格協会と連携して推進しました。また、標準委員会での品質管理用語の定義作りについても85語について定義と解説をPARTTとして纏めました。

 本年度の大きな成果は、国際連携で9月15日から18日に開催したANQ Congress東京大会の運営です。本学会は早稲田大学理工学術院と共催し、また多くの団体・企業及び会員から多大の支援を得て、ANQ Wayに則り、学会の総力をあげて運営を行い、約21カ国、380人強のアジアなどからの品質分野の関係者の参加を得て成功裏に開催できました。
 微減傾向にある学会員対策としての会員の質・量の拡大に関しては、学会員の満足度向上の為の取組みや受験者が順調に増加しているQC検定の合格者への勧誘などを進め、個人会員の増加を図るべく、入会キャンペーンを実施しました。
 公益法人法の改正への対応については、特別委員会を立上げ、情報収集を行いましたが、具体的な内容検討は次年度の課題として残りました。今後は5年後の移行期限に向け、情報収集・対応課題調査及び学会組織・運営体制の見直し整備の検討を期待します。

2.総合企画委員会(委員長:大沼 邦彦)

 38年度は第2期中期計画のスタートの年であり、中期計画で設定した目標達成のための取組みが計画通りに始動するように関連委員会と連携しながら推進しました。さらに前年度と同様に中間での計画の進捗状況のフォローを行い、必要により各委員会や支部の目標の見直しなどを行いました。またANQの東京大会や学会40周年事業などの大きな行事への対応も主要課題として取り組みました。主な活動事項は下記の通りです。
1) 中期計画をローリングし、大筋で計画通りの進捗を図ることが出来ました。
2) 産学連携テーマの拡大では、新規4社についてトライに着手しました。
3) 学会を取り巻く課題の把握と対応検討では、学会の強みと弱みを好機と脅威となる環境について、SWOT分析を実施して課題の確認・共有を行いました。そして会員減少対策として入会キャンペーンを実施しました。更なる施策の検討並びに具体的施策は今後の課題として残りました。
4) 公益法人法改正対応では、特別委員会を立上げ関連情報の収集、対応課題の調査に着手しました。
5) 40周年記念事業については、記念事業時期などの検討を行いましたが、具体的内容の検討は次年度の課題となりました。
6) ANQ Congress東京大会は国際委員会や論文誌編集委員会等の精力的な活動により約380名の参加、160件の投稿を得て、成功裏に開催できました。

3.事業委員会(委員長:大藤 正)

 第38年度事業は本部(年次大会、研究発表会、ヤングサマーセミナー各1回、シンポジウム3回、事業所見学会2回、クオリティパブ4回)、中部支部(研究発表会、シンポジウム各1回、講演会1回、事業所見学会2回)、関西支部(研究発表会1回、シンポジウム2回、講演会1回、事業所見学会4回)と順調に開催され、実績を上げております。支部行事は基本的に各支部の主体性にお任せしており、地域の会員のニーズを反映した行事を企画していただき、各々好評をいただいております。
 本部事業も幅広いニーズに対応したタイムリーな企画を目標に実施して参りました。昨年10月3日の第62回クオリティパブから本年9月24日の第126回シンポジウムまで全14回にわたり多数の会員に参加いただき、心より御礼申し上げます。以下簡単に主な行事の状況を説明いたします。特に学会行事の真骨頂である研究発表会、年次大会は会員諸氏の熱意により大変な活況を呈しております。
(1) 年次大会、研究発表会
 第38回年次大会は昨年11月8日、東京都の東京工業大学にて開催し、研究発表48件、のべ235名の参加者があり、昨年より50名増の参加者を得ました。首都圏での開催でもあり、発表件数が非常に多く、活発な大会となりました。第89回研究発表会は本年5月30日〜31日に日本科学技術連盟東高円寺ビルにおいて昨年同様2日間で開催、一般発表で63件(昨年51件)もの熱気溢れる発表があり、またチュートリアルも2件講演があり、参加者も269名と盛況でした。今後運営方法について更に改善を進めますが、概ね満足の評価をいただいております。
(2) シンポジウム
 以下の3回を開催、いずれも日本を代表する各界の識者の講演・発表と討論があり、好評をいただきました。参加人数はいずれも100名前後と、昨年度の課題を克服したと思います。
2008年12月9日 第125回「短期開発における品質のつくり込み」(日本科学技術連盟本部)
2009年9月19日 テクノメトリックス研究会 研究報告シンポジウム「田口メソッドの理論と応用」(成蹊大学)
2009年9月24日 第126回「これからの品質をどう考える」(日本科学技術連盟東高円寺ビル)
(3) 講演会
時宜を得た企画での実施を調整しましたが、今年は開催を見送りました。
(4) 事業所見学会
 以下の2回を開催、いずれも個性的で優れたTQM活動を展開する事業所を見せていただき、参加者から高い評価をいただきました。
2009年3月24日 第339回 潟鴻bテ浦和工場
 「マーケットに長く愛されている"お口の恋人ロッテ"のチョコレート工場の秘密」
2009年4月14日 第341回 製品評価技術基盤機構(NITE)
 「製品事故の再発防止・未然防止に役立てるNITEの製品事故情報の活用」
(5) クオリティパブ
 ほぼ隔月に開催し、20〜30人の少人数の参加者がくつろいだサロン的雰囲気で一流講師の講演を聞き、活発なディスカッションの場を提供する本部独自のユニークで贅沢な行事です。38年度も各界から以下の多彩なゲストとテーマで4回開催し、好評をいただきました。
2008年12月12日 第63回 丸山律夫氏(岡谷電機産業渇長)
 「経営者の視点から見たISOの有効活用法」
2009年 2月24日 第64回 井口新一氏((財)日本適合性認定協会専務理事)
 「これからのISOマネジメントシステム審査−審査員の価値−」
2009年 6月10日 第65回 牛久保雅美氏(サンデン渇長)
 「人材育成とSTQM活動−いかに人をつくるか−」
2009年 8月31日 第66回 大沼邦彦氏(日本品質管理学会会長)
 「業務体験談と日立の品質保証活動の背景(落穂拾いの精神)について」
(6) その他
  第7回ANQ Congressが東京で開催され、国際委員会とともに企業訪問先の選定・引率などの手伝いを行いました。

4.中部支部(支部長:木下 潔)

<事業内容>
1. 講演会/シンポジウム【合同開催】[日程:7月10日13:00〜17:30、場所:刈谷シャインズ、参加者:143名](第107回・第128回)
(計画各1回/合同開催とし実績1回・・・注;第38年度のみの処置)
  *テーマ;実践的Qの確保 −ものづくりを俯瞰した源流からの未然防止活動−
  *キーワード;「未然防止」、「自工程完結」、「プロセス管理」、「ばらつき低減」、「人材育成」など
  基調講演 GD3コンサルティング   :吉村 達彦 氏
     

 

;問題発見と未然防止のマネジメント
  事例講演  (1)名古屋工業大学教授 :仁科 健 氏
        ;ものづくりプロセスにおけるばらつき低減の体系化
      (2)トヨタ自動車概QM推進部 :大野 秀樹 氏
        ;自工程完結の考え方と実践事例
      (3)パナソニック兜i質本部 :橋本 元 氏
        ;パナソニックにおける品質職能の育成
  パネル討論会    リーダー;仁科 健 氏 /
         パネラー;吉村 達彦 氏、大野 秀樹 氏、橋本 元 氏
  パネル展示及びパンフレット配布(新企画)
      … 産学連携現地現物研究会「活動成果要約パネル」を展示
2. 研究発表会[日程:8月26日12:30〜17:25
  場所:名古屋工業大学 参加者:有料98名](計画1回/実績1回)
  *テーマ  ;「実践的Qの確保」の構築
  *発表内容;産業界―7件(因果分析によるばらつき要因の解析、品質工学実践活用の推進など)
   
14件  学術界―2件(複数の撹乱因子のもとでの頑健設計など)
   医療 ―2件(病院における配薬業務に関する研究など)
   産学連携―3件(実験点配置からみたL18直交実験における交互作用など)
3. 事業所見学会 (計画2回/実績2回)
  1) 第1回(第340回): ヤマザキマザック梶@
[日程:5月12日 場所:岐阜県美濃加茂市 参加者:41名]
*テーマ ;工作機械の品質つくり 〜技術と技能の融合
  2) 第2回(第344回): 活タ城五十鈴 
[日程:6月17日 場所:愛知県安城市 参加者:18名]
*テーマ ;誰でも出来る職場創り
4. 幹事研修会 (計画2回)
  *第1回 6月12日; 産学連携現地現物研究会活動成果のパネル化内容と展示方法に関する意見交換
  *第2回 9月/中旬(中止);支部活動の今後の方向性を協議
5. 研究会活動報告(研究会活動から研究発表会のテーマを出せるように活動)
  1) 東海地区 若手研究会[名古屋工業大学;仁科教授 主催](計画6回/)
  2) 北陸地区 若手研究会[金沢工業大学;石井教授 主催](計画3回/実績3回)
  3)
産学連携現地現物研究会 [早稲田大学;永田教授 主催
   学側;仁科教授 産側;トヨタ自動車鞄n邉技監](計画5回/実績5回)
  *研究テーマ推進及び活動成果の書籍化作業を展開中(講演会・シンポジウム用パネル展示資料の要約版審議)
  4)
中部医療の質管理研究会 [朝日大学;國澤教授 主催
   医療側;松波総合病院 山北病院長(09.4〜)](計画10回/9月末までに10回開催予定)
  *09年3月20日 支部第2回役員会で今後の活動計画と研究会としてのあり方を審議
小研究会を主体に医療の質管理研究会の活動推進を図ります。
(テーマ:「誤薬防止」「配薬業務合理化」)
  *第3回中部医療の質管理研究会シンポジウム
[日程;08年12月14日 中部支部後援で開催]
6. その他
  協賛行事 ;日本OR学会中部支部 第6回シンポジウム
[日程;9月7日 場所;第2豊田ビル西館8F第1会議室]
テーマ「情報化時代の情報通信システムの性能評価」

5.関西支部(支部長:岩根 茂樹)

(1) 事業所見学会
第338回 3月6日(金)シスメックス梶i兵庫県加古川市) [参加者38名]
「先端医療で要求されるものづくりの取り組み〜医療用機器(主に検体検査用)の品質活動〜 」
 検体検査領域でグローバルトップ10に入るシスメックス鰍フ実際の製造ラインを見学し、さらにシスメックス側からのプレゼンテーションを通じて、先端医療で要求されるものづくりの取り組みや医療用機器分野の品質活動について説明を伺い、討論を実施しました。
第342回 5月28日(木)日本郵船梶i神戸コンテナターミナル)
「ロジスティクスの品質 〜総合輸送を支えるコンテナターミナルの仕組み〜 」
 (新型インフルエンザの影響で中止・延期)
第345回 9月 1日(火)叶_戸製鋼所(神鋼神戸発電所) [参加者18名]
「エネルギー発電所の品質活動〜都市型発電所の品質・環境保全・地域との共生〜」
 地域へのエネルギー供給と省エネルギー化を実現していく中で、都市型発電所における品質活動の取り組み、地域との共生をテーマにした環境保全活動など説明を伺い、今後のエネルギー発電所のあり方について理解を深めました。
(2) 講演会 
第105回 5月18日(月) 於:中央電気倶楽部 [参加者 70名]
「躍進する元気なモノづくり」
 講演(1) 「ザ・プレミアム・モルツ開発と成功」
   サントリー酒類梶@ビール事業部 商品開発研究部 技術顧問 山本 隆三 氏
 講演(2) 「人工衛星プロジェクト 〜 モノづくりは人づくり 〜」
   東大阪宇宙開発協同組合 専務理事 棚橋 秀行 氏
→「躍進する元気なモノづくり」をテーマに、長引く不況に負けない「モノづくり」の神髄や成功へのプロセス、組織活動のポイントなどを講演いただきました。
(3) シンポジウム
第127回 3月10日(火) 於:中央電気倶楽部 [参加者 81名]

「厳しいグローバル競争の中での人づくり・ものづくり」

 基調講演: Dr. Anthony Hayter 氏(デンバー大学 教授・Ph.D, Statistics)
 講演者 : (1)高橋 俊樹 氏 ジェトロ東京本部・海外調査部国際経済研究課 課長
  (2)許 炎 氏 THS
  (3)洞澤 喜光 氏 パナソニック梶@オートモティブシステムズ社
 パネル討論(全講演者)
 日本企業の海外展開と国内生産拠点の役割などについて、学会、行政、企業と視点の異なる分野の方にお話しいただき、各講演後、聴講者からの質問を受けて、グローバル競争の中での人づくり・ものづくりについてパネルディスカッションを行いました。
第129回 9月 8日(火) 於:中央電気倶楽部 [参加者 73名]
「減速経済の今こそやっておくべきこと! 〜 品質を第一とする人材育成を考える 〜 」
 基調講演: 岩崎 日出男 氏(近畿大学 理工学部 教授)
 講演者 : (1)近藤 賢 氏 積水化学工業 生産力革新センター モノづくり革新センター
  (2)片谷 敏晴 氏 シャープ(株) CS推進本部 品質戦略室
 パネル討論(全講演者)
 品質技術者の人材育成について講演ならびに討論をしていただき、各講演後、聴講者からの質問を受けて、企業にとって最も重要な人材育成についてパネルディスカッションを行いました。
(4)
研究発表会
91回 9月 4日(金) 於:中央電気倶楽部 [参加者 81名]
  特別講演:梶原 武久 氏(神戸大学大学院 准教授)
〜「品質コスト」にみる日本的品質管理の現状と課題〜
 昨年に引き続き、「研究セッション」と「事例セッション」の2つのセッションを設けて実施しました。発表は19件(研究13、事例6)で、口頭発表者とその共同研究者の方を対象とした表彰を行ない、最優秀発表賞1件、優秀発表賞2件の表彰を行ないました。また、特別講演も昨年に続いて実施しました。
(5) 研究活動報告
1) 統計的品質情報技術開発研究会
「新たなSQCの開発・実践を行うこと」「誤用を防ぐために既存SQCの再検討を行うこと」を通してSQC活動を活性化させます。
2) 科学的先手管理アプローチ研究会
マネジメントの課題を階層別に取り上げ、日本品質管理学会が培ってきた数々のQC技術(信頼性、IE、OR等を含む)をベースにし、科学的な先手管理、源流管理へのアプローチを体系化します。
(6) QCサロン
第70回 2月12日(木)田部 信雄 氏(元 松下電子部品) [参加者 28名]
  「私の品質管理活動の歴史〜天国と地獄〜」
第71回 4月 9日(木)三木 修 氏(劾TTドコモ 関西支社 ソリューション技術部長)[参加者 24名]
  「新モバイル時代への挑戦!! 〜これから何が起こるのか〜」
第72回 6月11日(木)加古 昭一 氏(元 日本ペイント) [参加者 19名]
  「ヒューマンエラーへの取組み」
第73回 8月27日(木)福田 渚沙男 氏(元 関西ペイント)[参加者 18名]
  「教えることと「わかる」こと ・・・研修の現場から」
第74回10月 8日(木)浅田 俊和 氏(元 クラレ) [参加者 17名]
  「中規模・小規模組織に魅力を持たせるTQM 〜 QMS審査の現場からみたシンプルなTQM導入の必要性 〜」
(7) 合同役員会 2008年12月25日(木)、2009年2月12日(木)、4月9日(木)、6月11日(木)、8月27日(木)

6.論文誌編集委員会(委員長: 棟近 雅彦)

論文誌編集委員会では以下の活動を行いました。
(1) 前年度方針を引き継ぎ、毎月1回の論文誌編集委員会を開催しました。論文誌編集委員会の責任に基づき、査読意見を参考にしながら、編集委員会が主体的に掲載の可否を判断してきました。また、「著者責任」を基本とし、新規性・価値のある主張を含む論文については原則として掲載の方向で進めました。
(2) 7thANQが日本で開催されるにあたり、国際委員会の委託を受けて、以下の活動を行いました。
1)7thANQへJSQCから提出された全てのアブストラクト(全64本)に対する審査
2)フルペーパーに対するBest Paper Awardの審査
3)7thANQのプログラム委員会としての活動(プログラム編成、プログラムブック・Proceedingの作成)
(3) 投稿論文審査のスピード化も引き続きめざした結果、大幅に遅れるものはなくなりました。しかし、さらに迅速に審査が進むように、次年度以降に新たな対策を実施する必要があります。
(4) 表1に過去5年間(34年度〜38年度)の月別投稿論文数を、表2に過去5年(34年度〜38年度)の投稿区分別採択数を示します。38年度は審査中のものがありますので、採択数は33年度から37年度を示しました。一度却下されたものが再投稿される場合もありますので、単純に採択率を計算することはできませんが、おおむね4割程度が採択されています。
 
表1 過去5年間の月別論文投稿数

  10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月
34年度 1 3 2 3 1 1 3 1 0 3 1 4 23
35年度 3 1 3 3 2 1 3 1 6 2 1 1 27
36年度 4 1 1 1 4 3 4 4 8 1 4 2 37
37年度 1 1 3 1 2 0 6 5 3 - 2 3 27
38年度 1 3 2 0 4 3 1 2 2 0 4 - 22
 
表2 過去5年間の投稿区分別採択数

  33年度 34年度 35年度 36年度 37年度 5年間合計 採択率
  投稿数 採択 投稿数 採択 投稿数 採択 投稿数 採択 投稿数 採択 投稿数 採択  
  29 11 23 9 27 8 37 14 27 8 143 50 0.350
報文 10 6 6 1 11 3 17 4 6 3 50 17 0.340
技術ノート 3 2 4 1 3 2 5 2 6 3 21 10 0.476
調査研究論文 6 2 2 1 7 1 2 1 4 2 21 7 0.333
応用研究論文 4 0 4 1 3 0 4 3 3 0 18 4 0.222
投稿論説 4 1 2 0 2 1 6 2 7 0 21 4 0.190
クオリティレポート 2 0 5 5 1 1 3 2 0 0 11 8 0.727
QCサロン                     0 0  
レター                 1 0 1 0 0

7.学会誌編集委員会(委員長:瀧沢 幸男)

 第38年度も、前年度までの編集指針および運営指針を踏襲しつつ、Vol.38-4からVol.39-3までの特集企画を1回/2ヶ月のペースで継続的に検討して参りました。
 編集指針/運営指針は次のとおりです。
<編集指針>
  3000名の会員の声を反映させる/質(Quality)にこだわる/論文誌も含め他誌との差別化を図る/会員増に繋がるような魅力化を図る/世界の専門誌と比較しても存在感があるものを目指す
<運営指針>
  タブーを作らない/ユニークさを歓迎する/過去の慣習に囚われない/ワンパターンに陥らない/多種多様な考え方を尊重する/編集委員の主張を明確に示す/変化の見える化/失敗を恐れず批判批評は大いに歓迎する/開かれた委員会運営を目指す/全員参加で一人二役以上/相互扶助
  これらの指針に基づき、本年度品質誌に掲載されたテーマは以下の通りです。
 

Vol.38-4(2008年10月発行): 『信頼性・安全性の確保と未然防止』

  Vol.39-1(2009年 1月発行): 『実務に役立つSQCの再普及』
  Vol.39-2(2009年 4月発行) : 『QCサークル活動のこれまでと、これから』
  Vol.39-3(2009年 7月発行): 『短期開発における品質の作り込み』

8.広報委員会(委員長:兼子 毅)

(1) JSQCの広報対象に関する整理
  Webページやメールなどの電子的な媒体、機関誌「品質」や「JSQCニューズ」などの紙媒体によって、学会の活動や事業に関する情報は会員には広く伝達されていました。今後学会の広報を考えるにあたり、非会員への広報を増強し、学会への興味を抱いていただくとともに、学会活動や各種事業などへのいっそうの参加を促すことが必要となります。今期は、その観点から、どのような広報対象を考えるべきか整理しました。
(2)積極的な外部広報のための準備
 外部への広報を考えるにあたり、費用対効果をあげるため、安価に広報が可能となる手段を整理し、準備しました。主たる手段は、会員個人による「口コミ」とその奨励、各業界で多くの読者を持ち、影響力のあるメディアへの積極的プレスリリースです。

9.会員サービス委員会(委員長:釜谷 佳男)

 本学会会員数は、2009年末現在、名誉会員30名、正会員2,700名、準会員82名、賛助会員企業170社、197口、公共会員23団体、23口となりました。
  ’08/秋から急速に悪化した世界的経済不況に伴い、多くの学会が会員数を減らす中、本学会の会員維持・拡大に向け、活発な事業活動、部会/研究会活動、さらには、学会関係者の熱心な勧誘活動のほか、「QC検定合格者への入会特別キャンペーン」、「MS審査員研修終了生への入会特別キャンペーン」を行いました。QC検定合格者へのキャンペーンは徐々に効果があったものの、全体的な個人会員の減少に歯止めをかけるには至りませんでした。
  賛助会員企業については、会長名で年度報告と協力へのお礼状を発信することにしました。今年度は、新規加入企業があったものの、経済環境の悪化に伴う社内経費抑制の影響を受け退会される企業が増え、11社/11口の減少となりました。
 中期計画で掲げた40歳台以下の会員比率40%に対しては、構造的な変化は見られず、QC検定合格者の入会(22名)はみられたものの、昨年度より0.5%改善し、36%台にとどまりました。賛助会員企業は、目標の180社/210口に対して、170社、197口であり、引き続きご協力・ご支援依頼を実施していきます。

10.規定委員会(委員長:橋本 進)

 本年度は、以下の「内規」8件、マニュアル1件を制定及び改定し、理事会での審議・承認を経て施行しました。
  (1) 学会規則第232「研究奨励賞積立資金の使途に関する内規」/2009.05.19制定
  (2) 学会規則第233「研究助成積立資金の使途に関する内規」/2009.05.19制定
  (3) 学会規則第234「品質管理推進功労賞積立資金の使途に関する内規」/2009.05.19制定
  (4) 学会規則第235「国際研究交流積立資金の使途に関する内規」/2009.05.19制定
  (5) 学会規則第236「名簿費積立資金の使途に関する内規」/2009.09.08制定
  (6) 学会規則第237「40周年記念事業積立資金の使途に関する内規」/2009.09.08制定
  (7) 学会規則第203「役員等選挙管理事務内規」/2009.09.08改定
 これらの内規は、文部科学省の指導に基づき、特定資産取得支出の各項目の使途に関して明確にするために制定し、また、役員の選任方法を明確にするために改定しました。
  (8) 学会規則第204「研究会内規」/2009.05.19改定
 この内規は、研究開発委員会に産業界所属会員が議論する場としての"ワークショップ"を新設するために、下記のマニュアルを制定しその手続き等を明確にするために、研究開発委員会と連携し改定しました。
  (9) 学会規則第327「ワークショップマニュアル」/2009.5.19制定

11.研究開発委員会(委員長:渡辺 喜道)

 今年度は、「テクノメトリックス研究会」、「信頼性・安全性計画研究会」、「医療経営の総合的「質」研究会」、「サービス業における顧客価値創造研究会」の4つの計画研究会が活発に活動しました。
 「テクノメトリックス研究会」では、2編の論文発表、4件の研究発表会での発表を行いました。「信頼性・安全性・計画研究会」では、品質誌に2回の特集を組み、研究成果を発表しました。また、第89回研究発表会で成果を報告しました。「医療経営の総合的「質」研究会」では、第89回研究発表会で研究成果を2件発表しました。「サービス業における顧客価値創造研究会」では、4件の研究発表、4件の関連研究発表を行いました。
 また、産業界所属会員等が品質管理関連で抱えている問題等を気楽に議論できる場であるワークショップという研究会の新しい枠組みを構築しました。

(1) テクノメトリックス研究会(主査:中西 寛子 20名)
  ・研究概要
 テクノメトリックス研究会では、「統計的手法を中核とした品質管理手法の開発・普及」をスローガンとし、品質管理に役立つ手法、考え方を幅広く探索しています。おおむね3ヶ月に1度の開催ですが、各メンバーが興味あるテーマを持ち寄り、それについて議論を行いました。
 また、本年度は研究会メンバーの一部が参画している「(基盤研究A)品質工学(タグチメソッド)の理論と応用に関する学術的研究(代表者:田中研太郎)」による研究集会「タグチメソッドの理論と応用」を共催し、2009年9月19日に行いました。
  ・研究発表
 はじめに、近年、研究会の主テーマとして取り上げています「MTシステム」に関する発表例を列挙します。
 「タグチのRT法で用いる距離の性質とその改良」
 「MTシステムと判別分析の比較」
 「MTシステムにおける諸注意」
 また、品質管理において最も基本的な「実験計画」に関する内容については以下のような発表がありました。
 「regularでない一部実施計画のあるクラスの性質」 
 「統合的設計監理手法に関する研究−過飽和実験計画を用いたパラメータ設計−」
 「ある種のロバストな2水準計画の設計について」
 「選択組立における凸損失関数のもとでの部分寸法の分布の最適分割問題」
 「多元分割表の階層モデルに対する不変群の導出」
 ここにあげた内容以外にも多数の発表がなされました。このように品質管理手法の数理的基礎や実際の応用に関するテーマを取り上げる一方で、統計理論一般についても議論を行いました。これらの議論を元に研究をさらに進めたものの一部は、SQC研究発表会や品質誌の投稿論文などで発表されています。
   
(2) 医療経営の総合的「質」研究会(主査:永井 庸次 18名)
   37年度の研究活動を継続し、38年度では以下のテーマに取り組みました。
2008年  
9月(91回)医療の七つ道具のうち、「対策発想チェックリスト」 ・・・・中條委員
  「メリット・デメリット表」・・・・・・佐伯委員
10月(92回)医療の七つ道具のうち、「まぁ、いいか防止ツール」・光藤、田村委員
11月(93回)「まぁ、いいか」防止アンケートについて ・・・・・・・・木村委員
  自院の「まぁ、いいか」事例 ・・・・・・・・・・・・・・・・永井委員
  自院のインシデント・アクシデント事例報告 ・・・・・・・・・鈴木委員
12月(94回)自院の医療安全推進室の取り組み・・・・・・・・・・・・・永井委員
  「まぁ、いいか」の定義付け ・・・・・・・・・・・・・・・・永井委員
2009年    
1月 (95回)
医療の七つ道具の位置付け、特に「まぁ、いいか」に関する再整理
感染対策に関する不遵守アンケートの作成 ・・・・・・・中條、永井委員
同アンケートの水戸総合病院、河北総合病院実施計画・・・永井、鈴木委員
品質管理学会演題提出に関する検討
3月 (96回)
感染対策に関する2病院での不遵守アンケート調査結果・・中條委員
4月 (97回)
再度医療の七つ道具に関する再整理
5月 (98回)
医療の七つ道具のうち、「QFD」再整理・・赤尾委員、国枝外部講師
6月 (99回)
医療の七つ道具のうち、「QFD」再々整理・・・・・・・・・赤尾委員
   感染対策不遵守アンケート全国6病院実施
7月 (100回)
感染対策不遵守全国6病院の調査結果・・・・・・・・・中條委員

 上記の議論を踏まえて、38年度には以下を実施しました。

A) 研究会メンバーが全日本病院協会主催の「医療安全管理者養成講座」において、講師を務めました。
B) 委員2名が新版 品質保証ガイドブックにおいて、医療分野の項を執筆・校正しました。
C) 「医療の七つ道具」(仮称)について、5月30日に第89回品質管理学会研究発表会で「医療のTQM七つ道具(仮称)」に関する検討
    佐伯、飯田、光藤、中條、永井委員、ほか
  病院業務における「まぁ、いいか」(意図的不遵守)防止ツールの提案
    永井、中條、鈴木、飯田委員、ほか
  を発表しました。
D) 「医療の七つ道具」(仮称)について、各担当委員が病院経営(産労総合研究所)に分担執筆しました。
 
2009年4月20日号   医療のTQM七つ道具の提案 飯田委員
2009年5月20日号   業務工程(フロー)図 永井委員
2009年6月20日号   対策発想チェックリスト 中條委員
2009年7月20日号   根本原因分析 飯田委員
2009年8月5/20日号   故障モード影響分析 飯田委員
2009年9月20日号   メリット・デメリット表 佐伯委員
 

以下、「QFD」赤尾委員、「まぁ、いいか防止ツール」光藤委員の予定です。

   
(3) 信頼性・安全性計画研究会(主査:鈴木 和幸 12名)
    急速な技術の進展と社会・市場構造の変化により激変する社会・経済環境の下、"ものづくり"における信頼性・安全性(R&S)確保の要求がますます高まっています。この要請に応えるべく、2006年7月に本計画研究会が発足し、本年6月までの3年間、32回の会合とシンポジウムを通して討議を重ねてきました。
 このR&Sの確保の為には、開発・設計・生産の現場におけるi)トラブルへの迅速かつ適切な対応、 ii)トラブルの再発防止、 iii)トラブルの未然防止 が鍵を握ります。そして、これらの活動をa) 安全文化とトップのリーダーシップ、 b) 品質保証とその仕組み、 c) ユーザとメーカと社会・行政の三位一体の活動 が支えなければなりません。これらに関し、第一期(36-38年度)の最終年度にあたる本年度は、実施例も含めて[1]にて総合報告 を行いました。さらに進んで、特に(1)危険な状態の定義の明確化、(2)固有のR&Sと使用・運用のR&Sのギャップの克服、(3)新技術・新製品への予測に基づくトラブルの未然防止、 (4)高度技術下でのQA体系の確立と保全を中心とするQA体系の構築、 および(5)上記c)の三位一体活動に関し[2]にて、また短期開発製品のR&S作り込みに関し[3]にて報告し、最終的な纏めとしました。
[1] 品質, Vol.38, No.4, 2008年10月号特集「信頼性・安全性の確保と未然防止」
[2] 鈴木和幸他(2009):「JSQC信頼性・安全性計画研究会報告(第3報) 」, JSQC第89回研究発表会,pp. 225-228
[3] 品質, Vol.39, No.3, 2009年7月号特集「短期開発における品質のつくり込み」
   
(4)  サービス産業における顧客価値創造研究会(主査:神田 範明 16名)
 当研究会は学会中期計画における「Qの創造」をサービス産業において展開すべく設置された計画研究会で、2007年1月から活動を開始しました。サービス産業における実践的な顧客価値創造のシステムを提案し、製造業を含めた全産業でのQの創造を可能ならしめるのが目標です。
 本年度は当初計画(3年間)の最終年度に当たり、次の成果を得ました。
1) 第1回サービス産業実態調査の更なる分析・・・昨年2月に実施した実態調査の、企画方法面の分析を行い、第38回年次大会(東京)にて発表いたしました。
2) 仮説立案の方法論の研究・・・サービス産業での価値創造の要となる仮説立案に関して効率的な方法論を検証し、第89回研究発表会で発表いたしました。
3) 第2回サービス産業実態調査の実施・・・絞り込んだサービス商品に関して一般消費者の満足・購買意向のコンジョイント分析調査を実施し、要因解析をしてモデルの方向付けをいたします(第39回年次大会(大阪)で発表)。本年度学会予算と調査会社の多大な協力をいただき、総回答者数(延べ)約1,000名にのぼる大がかりな調査を実施し、サービスにおける価値創造モデルの探求に努力しております。

12.国際委員会(委員長:鈴木 知道)

(1)

第6回ANQ(Asian Network for Quality)大会への参加
 2008年10月にタイのバンコクで開催された第6回ANQ大会に、海外からの参加者としては最多の人数の参加をJSQCから行いました。40件以上の発表と50名以上の参加があり、更に、狩野紀昭元会長ならびに飯塚悦功元会長の基調講演や、インターネットを用いた特別セッションを企画しました。ポスターセッションの実施や、若手研究者に対する最優秀論文賞の実施など、JSQCが提案してきたANQ大会の質向上が着実に実を結んできています。

(2)

第7回ANQ(Asian Network for Quality)大会の主催
 2009年9月15日〜18日には、ANQ大会を、東京・早稲田大学理工学部キャンパスに招致して主催しました。その大会の成功を期して既に第38年度からは、国際委員会の委員のさらなる増員を行いました。大会の組織委員長には、日本品質管理学会会長の大沼会長とANQ会長のJanak Mehta氏の両氏を据え、大会の組織委員会には学会理事会に、実行委員会には国際委員会、プログラム委員会には論文誌編集委員会と、幅広く学会の委員会に協力を依頼しました。上記委員会、そしてANQ理事会や各ANQ組織との連携の結果、国外から約250名、そして総勢400名を超える参加があり,ANQ史上最大規模の参加数でした。発表件数も200以上の申込があり、全ての論文の審査を経て、最終的に162件の発表がありました。その結果、大会のレベルも大幅に向上したと信じています。大会テーマである "Prosperity through Quality, ―The ANQ Way―" にのっとり、ANQ発足時に掲げられたANQの理念を実現できるような大会となりました。

(3)

ANQ活動への積極的な支援・参加、ANQの基盤確立へ
 ANQの活動に積極的に参画しました。2009年春には、台湾でのANQボードメンバ会議に出席しました。9月に行われるANQ東京大会の運営方針等について、積極的に議論をリードしました。また、アジア品質管理賞や品質管理検定についても健全な発展を期すよう検討を深めました。そしてANQそのものの基盤の充実にむけて積極的に取り組みました。

(4) 海外の品質に関連する学協会とのアライアンスに関する具体的な検討
 ANQ内の各組織を重点として、幅広く海外の学協会と交流をもつための具体的方策について検討し、関係学協会と積極的に交流し、本会会員に有用な国際活動を展開できるように務めました。具体的な実現方法については、今後の課題となります。

13.標準委員会(委員長:村川 賢司)

 第二期中期計画に基づき、品質管理用語の定義づくりとその解説、標準化に関する情報発信に注力しました。
 品質管理に関する一般用語は、JIS Z 8101:1981が廃止されて以来、実務において統一的な定義と解釈が望まれる品質管理用語を選び、JIS規格の用語定義を含む関係文献を調査し、当学会が推奨する品質管理用語の定義の原案作成及び当該用語に関する我が国産業界の実務にあった解説をまとめました。これらの用語の定義と解説についてパブリックコメントにより意見を収集し、パブリックコメントに基づくレビューを行い、85語のJSQC定義と解説をPARTTとして確定しました。確定した用語は、JSQC選書「日本の品質を論ずるための品質管理用語85」として発刊し、社会への情報発信を指向しました。また、我が国の標準となる品質管理用語を確立していく枠組みの検討、及び品質管理用語の定義拡大の検討に入りました。
 標準化に関する情報発信では第126回のシンポジウム「これからの品質をどう考える」において標準化で指向していることを訴求するとともに、ISO規格化に関するTC176やTC207のエキスパートとの連携、道路交通安全に関するマネジメントシステム規格開発へ標準委員会として参画などを行い、標準化への組織的な関与を深めることに努めました。 

14.FMES関連(鈴木 秀男)

 FMESには、JABEE関連の業務を行うFMES/JABEE委員会と、シンポジウムを開催するための実行委員会、そしてその両委員会を統括するFMES代表者会議があり、いずれも当学会から委員を派遣するとともに、延長する形で本年度もJSQCがFMES事務局を務めました。また、本年度からFMES会長にJSQC前会長の圓川隆夫氏が就任されました。第25回となるFMESシンポジウムは、「世界不況に立ち向かう戦略的な企業経営」というタイトルで5月に開催されました。
  学術会議との関連では、FMES関連学会から選出されている連携会員が所属する総合工学部会WGとの連携による活動を推進しています。

15.研究助成特別委員会(委員長:石井 和克)

 第38年度研究助成特別委員会は委員長を含め7名で構成し、内4名が新委員で活動を進めました。応募者数は8名、内留学生が4名で第31年度より当該制度が開始されて以来、最多数となりました。その結果、中期計画の第38年度成果目標「応募が定数を下回らない。」を達成できました。なお、この実績は過去最多数の応募者のあった第35年度の9名に次いで2番目となりました。7名の委員による審議の結果、定数5名に研究助成を行うことを決定しました。なお、5名の内4名が留学生となりました。この成果は当初より追加募集は行わない方針のもと、ウェブサイト、JSQCニューズ、品質誌およびメールによる広報活動を進めたことと、前年度当該委員会の計画準備や事務局を始め関係各位のご支援の賜物と思っています。ここに心から感謝する次第です。

16.QC相談室特別委員会(委員長:岩崎 日出男)

 第33年度事業計画(2003年10月)より、品質管理学会のホームページ上において、企業が品質管理を推進・実践する段階での種々問題を相談できるサービスを「品質相談室」と称して開設してきています。過去において、Web上への不適切な書き込みが一時的に発生したこともございましたが、システムへの改良により、その後、問題は発生しておりません。本システムでは、延べ訪問者数(トピックを見た人の延べ人数)がログとして表示され、相談室の利用者がどのようなトピックに関心を持っているかといった有益な情報を得ることができるようになりました。相談内容や各回答者の質とスピードは期待通りの実績を残しています。相談内容は、品質管理の推進方法、規格の決め方、サンプリング方法、管理図の種類と使い方、データのばらつきに対する推定方法、抜取検査などに関する質問が寄せられています。質問数は決して多くはありませんが、回答者からの丁寧な対応で充実したシステムとして機能しています。

17.原子力安全特別委員会(委員長:中條 武志)

 原子力安全・保安院の後援を受け、日本原子力学会(ヒューマンマシンシステム部会/社会・環境部会)等と共催で「原子力発電の安全管理と社会環境に関するワークショップ」を2009年3月と9月の2回開催しました(テーマは「原子力安全に関する技術マップ」と「失敗から学ぶ」)。また、原子力安全基盤機構や社会安全研究所が中心となって進めている「原子力安全に関する技術マップ・人材マップ」の作成へ参画し、協力を行いました。

18.JSQC選書特別委員会(委員長:飯塚 悦功)

 品質に関わる概念・方法論・手法を社会が理解し適切に適用できるように支援するための一方法として、品質マネジメントに関わる、基本的考え方、マネジメントシステム、手法・技法、推進・運用、さらには品質に関わる時事の背景・意味の解説をする一連の書籍の出版化検討(企画・編集)をJSQC選書刊行特別委員会で進めました。
 同委員会を2回開催し、発行書籍候補の列挙、短期(1年程度)的な発行計画(主題、著者、発行時期など)を審議し決定しました。決定された主題にかかる構想の審議や原稿案の査読を行い、結果的に、計画に従って、2009年4月下旬には、第2弾として2冊『我が国文化と品質』及び『アフェクティブ・クォリティ』を同時に発行しました(出版社:日本規格協会)。

19.品質保証ガイドブック編集特別委員会(委員長:中條 武志)

 37年度に引き続き、「日本品質管理学会編 (新版)品質保証ガイドブック」の編集に取り組んできました。今年度は、(1)著者による1次原稿の執筆、(2)編集特別委員会による査読とコメントの送付、(3)著者による最終原稿の執筆、(4)編集特別委員会による編集原稿の作成、(5)版組、(6)著者校正、(7)編集特別委員会による最終校正と索引の作成などを行いました。

20.公益法人法対応特別委員会(委員長:鈴木 秀男)

 今年度は、主に新公益法人制度について情報収集を行いました。最終的な結論には至っておりませんが、現時点では、一般社団法人への移行の方向で検討しており、移行時期については2011年-2012年(40周年事業後)を想定しています。JSQCの現状の基盤から判断して、一般社団法人への移行は特に問題ないと考えています。

21.部会

(1)ソフトウェア部会(部会長:兼子 毅 80名)
 

 前年度から継続して、研究活動を行う会合を定期的に開催しました。昨年度に引き続き、過去ソフトウェアの分野で有用であった「形式知」の集積、分類を行うとともに、現在のソフトウェア開発において不足している部分、すなわち新たな研究が必要な領域を明らかにする活動を進めました。収集した約60項目の整理が終わり、公開に向けた準備を始めました。
 他団体との連携も、昨年度同様活発に行い、各種行事の後援などを行いました。

   
(2)QMS有効活用及び審査研究部会(部会長:福丸 典芳 135名)
   第二期活動を2008年6月から開始し、次の6つのテーマでの研究活動を行いました。主な内容は以下のとおりです。
1) 38年度研究活動のテーマ
  WG1:QMS有効性の向上に役立つ審査
WG2:次世代対応のQMS構築と審査技法
WG3:組織階層に応じたプロセスの明確化
WG4:マネジメントの原則から見た統合審査技術
WG5:ISO9001における効果的な組織の推進方法に関する研究
WG6:マネジメント原則の本質の研究、マネジメント原則に基づいたQMS(マネジメントシステムの基盤として)の研究、及びこれらの普及
2) 部会活動状況
  ・ISO17021-2の動向説明会開催(2009.1.24)
・部会内での中間報告(2009.3.21)
・第89回次大会発表会への参加(2009.5.30)
・WGリーダー会議(2009.9.19)
・38年度研究会開催回数、11回(2008.10〜2009.9)
 
(3)医療の質・安全部会(部会長:棟近 雅彦 189名)
 当部会は、活動開始後約4年が経過し、現在の部会員数は約200名の登録となりました。300名を目標にしていますので、今後も部会員増加に向けて努力してまいります。 今年度の研究活動としては、厚生労働科学研究費の研究グループ、およびJSAのQMS-H研究会と共同しながら、患者状態適応型パス(PCAPS)、医療の質マネジメントシステム等について研究してまいりました。また、2007年4月から活動してきました質マネジメント研究会(略称医療QMS研究会)は2009年3月で終了し、まとめの報告を5月の研究発表会で行いました。
 これらの研究成果の公開の一環として、2009年3月に、患者状態適応型パスの研究班と共催でシンポジウムを開催しました。また、その翌日に、シンポジウム「医療における臨床知識・技術と質マネジメントの融合−ここまできた質中心経営管理システム−」を開催しました。さらに、2009年9月には、科研費研究グループとの共催で、PCAPS中間成果報告シンポジウムを開催いたしました。
 教育・啓蒙活動については、QMS-H研究会、医療QMS研究会での成果を生かし、2009年8月より、「医療の質マネジメント基礎講座」を再スタートいたしました。11月までに、全14回を開催予定です。