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学会誌「品質」
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JSQCニューズ 2003 12月 No.249

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■トピックス:第77回QCS 品質管理シンポジウム・箱根の開催
■私の提言:ソフトウェアの品質から情報サービスの品質へ
・PDF版はこちらをクリックしてください →news249.pdf

■ トピックス
  第77回QCS 品質管理シンポジウム・箱根の開催

JSQC広報委員会 委員長 山崎 正彦
  第77回QCS(品質管理シンポジウム、テーマ:挑戦と創造〜グローバル化のもとでの新たなるTQMを求め〜)が11月27日〜29日、箱根・小涌園で130名の参加者を集め、(財)日本科学技術連盟の主催で開催された。今回の主担当組織委員は狩野紀昭氏(東京理科大学教授)で、特別講演、基調講演、発表、グループ討論、総合討論で構成されている。(下図参照)以下、大会で論じられた概要を記す。

1.新たなるTQMで何を実施するか(What)
 グローバル化の波が押し寄せ、環境変化が激しくなり“変化から課題への展開”が重要となる。昨今では、日本企業ではコスト削減の課題が大きく、製造工程を海外へシフトする企業が多いが人件費だけでなく変動費まで含めたコストでは競争力があり、日本での生産に力を入れている企業も多い。これから企業の活動ポイントは
@「ダントツ商品の企画」
A「世の中のスピードに対応できるTQMの構築」
と思われる。

2.どのように進めるか(How)
 商品づくりにはQ(品質)、C(コスト)、D(日程、数量)の同時達成が重要となり中でも、とりわけQが重要となる。このため、C,Dとのトレード・オフの関係にあるが、これを克服するキーは「技術」であり、“コア技術の強化”が重要となる。
 更に、QCDを同時達成するために“うまいやり方7ヶ条”の紹介や(第4班)、TQMの効果的推進ツールとして“サイマルエンジニアリング”、“QのみでなくC,DへのFMEA”、“TQM+TPM+TPSの融合”“シックスシグマ”などの手法が提案された。(第5班、松本氏)

3.まとめ
 グローバル化のもとでの新たなるTQMのポイントは、
@現場に基づく経営
A情報の開示(かくさない)
B永続的に改善に挑戦 
更に
Cスピード
が要求される。
 「最も強い者が生きるのではなく、最も賢い者が生き延びるわけでもない。唯一生き残るのは変化できるものである」−リチャード・ダーウィン−
 これらの、強靭なる企業を造るには「企業体質の改善はTQMしかない」という経営陣の強い継続的リーダーシップが必要であることを本シンポジウムを通じて、改めて考えさせられた。
(次回 第78回QCS 平成16年6月3〜5日 テーマ:質創造)
第77回 QCSの構成 → Click

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THE JAPANESE SOCIETY FOR QUALITY CONTROL

    

■ 私の提言
  ソフトウェアの品質から情報サービスの品質へ

山梨大学 助教授 渡辺 喜道
 10年ほど前に怒涛のごとく押し寄せてきた情報革命の波は社会の古臭い価値観やシステムを洗い流しつづけている。こうした変革の中で、世の中の至るところに各種コンピュータ機器が張り巡らされ、ユビキタスコンピューティング環境が現実のものとなりつつある。このように、情報技術(IT)の飛躍的な進展は、我々の生活環境に劇的な変化をもたらし、人々のライフスタイルも様変わりしつつある。その要因のひとつに、インターネットに代表されるコンピュータネットワークの急激な発展をあげることができる。換言すれば、ネットワーク指向コンピューティングの時代に突入したということもできる。

 こうした変革の中で、ソフトウェアの品質は対照的にあまり変化していないように思われる。したがって今こそ、ソフトウェアに関する品質の考え方を見直す絶好の機会ではないかと思う。つまり、情報化の大波に対して、柔軟に対応できるソフトウェアの品質・サービスの品質が求められているということができる。

 しかし、ソフトウェアの品質に関する考え方も決して変化していないわけではない。初期段階では、ソフトウェア(システム)自体の品質についての議論が多かった。その後、CMMに代表されるようなソフトウェアを作成する過程の品質、ソフトウェア開発プロセスの品質について数多く議論されるようになり、ソフトウェア開発プロセスの考え方が定着したように思われる。今後の課題のひとつは、品質の方向性を予見し、新たなソフトウェアの品質についての枠組みを考えることであろう。

 そのキーワードのひとつに情報サービスの品質をあげることができる。多くの利用者がPCやPDA、ケータイ(電話機としての機能の他に情報処理機能を備えた携帯電話)などから、日常的にコンピュータネットワークを通じて、各種コンピュータ機器にアクセスし、電子メールやWebサービス、電子商取引、各種情報サービスを利用している。こうした状況を考慮すると、次の時代に向けて、利用者の視点に立った情報サービスの品質、サービス指向コンピューティングの品質について考える必要性を感じる。


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