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学会誌「品質」
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JSQCニューズ 2003 9月 No.247

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■トピックス「IS制度の新しい方向」
■私の提言「「QC教育」再考」
・PDF版はこちらをクリックしてください →news247.pdf

■ トピックス
  IS制度の新しい方向

学会標準化委員会 矢野 友三郎(経済産業省)
日本工業規格、いわゆるJIS規格と規格に基づくJISマーク表示制度等は、昭和24年に工業標準化法が制定されて以来、50年にわたり我が国の工業発展に貢献してきた。

この間政府は、3次にわたり工業標準化法の実質的な制度改正を行い、内外の環境変化に柔軟に対応してきた。しかしながら、近年の大きな環境変化により、JIS制度においても更なる見直しが必要となってきた。

産業競争力強化のツールとしての標準の役割の増大、
消費者ニーズが多様化する中で、情報伝達ツールとしての規格への期待の増大、
行政改革の一環として、これまでの指定・認定制度から、事業者の自己責任をベースとした第三者機関(登録機関)による実施への移行

以上のような状況を踏まえ、平成14年6月、日本工業標準調査会の下に「新時代における規格・認証制度のあり方検討特別委員会」を設置し、新たな時代における規格・認証制度の課題を整理するとともに、政策の方向について議論を重ねてきた。平成15年6月、同特別委員会は、規格及び認証制度に関し、今後の在り方に関する基本的な考え方を次のように取りまとめた。政府は、同特別委員会の検討結果を踏まえ、現在、法律改正を含め具体的な取り組みに着手している。

〈規格制度〉

規格については、我が国産業の国際競争力強化のツールとしての活用、多様化する社会ニーズへの対応等を進めることが必要との認識に立ち、

@国際規格化のための対応体制の整備
ISO/IECへの日本からの提案に、「フォーラム規格」を活用することとし、簡素化した手続きによる国際提案制度を設ける。これにより、我が国発の新製品・新技術の市場の創出を一層効果的に図っていくことができる。
A規格作成の迅速化・効率化
現在、550を超えるJIS規格の原案作成団体があるが、一定の要件を備えた団体をCSB(有資格標準化団体)とし、迅速化・効率化した手続きによりJIS規格を制定する。
BC強制法規への引用促進等
欧米と同様に強制法規へのJIS規格の引用促進を目指すため、技術基準等に応じて引用されやすいJIS規格、規格番号体系を整備する。

〈認証制度〉

認証制度については、JIS規格を活用する適合性評価制度の活用、世界ネットワークへの統合、認証ビジネスの新たな展開等の観点から、@ユーザの多様なニーズに対応し、A国際整合化の確保により重複検査の排除(ワンストップテスティングの実現)を可能とするような、新JISマーク制度(新JNLA制度を含む)を構築する。

具体的には、従来のJISマーク制度等では、国又は国の代行機関等(指定認定機関、指定検査機関等)が工場の審査・検査を行っていたが、新制度では、これらの業務を国際的な基準等に基づき国に登録された登録認証機関が行う。これにより、国際基準とより整合化され、かつ、登録機関間の認証・試験結果の国際的な受入れ(MRA)促進が期待できる。

また、国の関与を必要最低限とするとの観点から、現行の指定商品制度は廃止される予定である。

新しい制度の根拠となる工業標準化法の改正は来年以降に予定されている。なお、法改正をともなわない、規格制度は早ければ今秋から導入が始まる。

■ 私の提言  「QC教育」再考

中部品質管理協会 杉山 哲朗
潟fンソーから出向して、現在の職場で中部地域のQCの教育・普及の仕事に携わって3年になる。残念なことに、1980年代のTQCブームといわれた時と比較すると、QC教育の受講者数は約半分である。これは、QC基盤の弱体化の一要因であるとも思われる。

教育内容の陳腐化もあり、大いに改善しなければならないところもあるが、QCの基本となる手法は、もっと多くの技術者、管理・監督者に勉強してもらいたい。

学校教育も「ゆとり教育」という名をかりた学力低下が著しく、人が財産であるという日本の産業の将来が心配である。ILOの調査によると、日本人の1年間の労働時間は、約1840時間、韓国人は約2450時間、アメリカ人は約1920時間である。日本人は勤勉であるという代名詞はどこかにいってしまっている。

かって、本屋にはQCコーナーと称して多くのQCの本が並び、現場にも「QCサークル」誌が配られて、経営者から第一線従業員まで、真剣になってQCを勉強した。石川馨博士は「QCは教育にはじまって教育に終わる」とQC教育の重要性を訴えられた。

QCを再興するためにQC教育を再考していただきたい。

経営者は、「ものづくりは人づくり」と考え、人材育成のための教育投資を怠らない。管理者には、部下に対して、QC教育と学んだ結果を実務に活用させる機会を与えていただくことを期待する。勝ち組の会社はQC教育にも力を入れておられ、従業員が活性化してますます業績も向上するというポジティブフィードバックがかかっているように思われる。

そして、私たちQC関係者が反省しなければならないことは、先人の遺産に頼るのではなく、自らの手で時代にマッチしたQC教育の新しい内容、方法を創出し、普及にあたることである。

QCの考え方、手法は、仕事の質を高める基本である。全員が、仕事を通して学び、人格を磨くという確固たる仕事観のもとにものづくりに励むことによって日本の活力を回復していきたい。


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